† たとえ挫けても、迷ってもその想いは嘘じゃないんだ †










「何がいけないの?」




なんて言いながらさんは笑った。

僕の質問がまるでわからないかのように・・・




「・・・加地くん?」




多分、今の僕の顔は・・・

さんを心配させるようなもの。




「駄目だよ」


「え?」


さん。自分を傷つけても誰も喜ばないよ」


「・・・・・・」


さんだってわかってるんだよね」


「・・・・・・」




さんも本当はわかってる。

自分のやってることは・・・ただの自己満足。

ただ、自分を傷つけることで自分を罰して満足を得ているだけ。




「・・・・・・」


さん」


「・・・何?」


「ちょっとずつでもいいから、変われないかな?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「加地くん」


「ん?」


「なんで、私にそんなこと言うの?」


「・・・・・・」




それは、きっと・・・




さんのことが好きだから・・・だよ」


「好き?」


「うん、僕は君が好きだよ」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「加地くんが言う好きって何?」




・・・・・・。

彼女は一体何を求めているのだろう?

彼女が求めるものをあげたい。

でも、彼女が求めているものが今の僕にはわからない。




「ねぇ、加地くん。加地くんが言う好きってなぁに?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


さんは日野さんのことが好きだよね?」


「ん、大好き」


「それとは違う好き、かな」


「違う?」


「うん、違う」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「よくわかんない」


「うん、わからなくていいよ。・・・まだね」




さんのその答えは想定内。

おそらく、みんな何らかの行動は起こしていたはず。

土浦も柚木さんも、月森も志水くんも・・・金澤先生あたりもかな?

でも、今のさんには伝わっていない。

だから、想定内。




「これから僕が教えてあげる、色んなことを」




少しでもさんが変われるように。




「一緒に色んなものを見に行こう?」


「色んなもの?」


「うん・・・例えば水族館で魚を見たり・・・」


「あ、水族館行きたい」


「じゃあ、今日の帰りにでも見に行こう」


「いきなり?」


「うん、さんの都合がよければ」


「・・・行く」


「じゃ決まりだね」




色んなものを感じれば・・・

きっと、さんは変われる。

僕は、君の為に僕に出来ることをするって決めたから。










† たとえ挫けても、迷ってもその想いは嘘じゃないんだ †

(僕が君を変えてあげたい。)



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