† 悲しい気持ちは雨と共に飛んでけ †










ちゃん・・・っ!」


「あ、火原先輩」




こんにちはー、なんて言いながらちゃんは笑ってる。

自分の指を傷つけながら・・・




「・・・そうだ!絆創膏!絆創膏!」




香穂ちゃんが持つようになって、俺も持つようになった絆創膏。

主にちゃん専用。




「あー・・・いいですよー」


「駄目だよ!駄目!絶対駄目!」


「・・・・・・」


「香穂ちゃんも悲しんじゃうよ・・・」




こんなのずるいと思うけど・・・

こうなっちゃったちゃんに香穂ちゃんの名前は効果大。

ちゃんはホントに香穂ちゃんのことが好きだから・・・

渋々だけど傷だらけで血が出ている指を出してくれる。




「ごめんね、俺器用じゃないから・・・」




お世辞にも綺麗とは言えない巻き方。




「ありがと、火原先輩」




でも、ちゃんは笑ってくれた。

今の俺が二番目に好きな笑顔。




ちゃん。その・・・俺、先輩らしくないけど・・・何かあったら頼ってね!!」


「・・・火原先輩」


「な、何?!」


「私、火原先輩、十分先輩らしいと思う」


「ほ、ホント?!」


「ん」


「ありがと、ちゃん!」




あれ?

なんか俺が元気づけられちゃった感じ?

でも、ちゃんってそういう女の子なんだよね。




「それに、香穂ちゃんのこと大好きだし・・・」


「うん!俺、香穂ちゃんのこと大好きだよ!」


「私も火原先輩に負けないくらい香穂ちゃんのこと大好き」


「うん、知ってるよ」


「火原先輩のことも好きだよ」


「・・・ありがと、ちゃん。俺もちゃんのこと好きだよ」




君は香穂ちゃんの大好きな人。

君も香穂ちゃんが大好き。

香穂ちゃんが大好きな人に、ちゃんに好きって言われるのはすごく嬉しいよ。




「あっ香穂ちゃんー!!」


!和樹先輩!」


「香穂ちゃんー私、喉渇いたからジュース買って森の広場行ってくるー」


「え?」


「火原先輩、ばんそーこありがとねー!ごゆっくりー」




















◇◇◇




















「なんか気を使わせちゃったみたいですね・・・」


「うーん・・・でも、ちゃん嬉しそうだったよ?」


「え?」


「きっとね、ちゃんは香穂ちゃんが嬉しかったら自分も嬉しいんだよ」




そういうところ、俺とすごく似てるから・・・

だから、なんとなくわかるんだ。




「私も、が嬉しいと嬉しいです」


「うん、俺も・・・あ、香穂ちゃん」


「はい?」


「じゃあ俺が嬉しいと香穂ちゃんも嬉しい?」


「もちろんです!」




そう笑顔で答えてくれる香穂ちゃん。

俺も同じ気持ちだよ。

香穂ちゃんが嬉しいと俺も嬉しい。




















◇◇◇




















「あ・・・蓮だ」




この音は絶対に蓮。

間違いない、はず・・・!




「やっぱり正解ー」


か」


「そうだよー」


「・・・今日はどうかしたのか?」


「ん?蓮の音が聴こえたから近づいてみた」


「・・・そうか」


「邪魔?」


「いや、そんなことはない」


「そっかーよかった」




あ、見てる。

私の指。




「・・・・・・」


「コレ、さっき火原先輩が巻いてくれた」


「・・・なるほど、火原先輩か」




あ、納得したっぽい。

今、私の指に巻かれてるのは花柄のばんそーこ。




「火原先輩が持ってるばんそーこはメルヘンでした」


「まぁ・・・火原先輩なら考えられる」


「ん、同じくー」




梁ちゃんとか蓮が持ってたら笑える。

笑っちゃ失礼だけど、私は笑っちゃうね。

で、怒られる。




「・・・花柄の絆創膏がいいのか?」


「ん?蓮が持ってたら私、笑っちゃうよー」


「・・・そうか」




多分、蓮なりに気を使ってくれてるんだよねー。

一応女の子だし?




「ありがと、蓮」


「いや、別にたいしたことじゃない」


「ん。じゃーカフェテリア行こー」


「・・・なぜ、そうなるんだ?」


「・・・喉渇いた。購買でもいいよー」




さっき、香穂ちゃんと火原先輩を二人きりにするための口実に使ったけど。

喉渇いたーってやつ。

あの時はそうでもなかったけど、今はちょっと水分を求めてる感じなんです。




「・・・わかった」


「もしかして、もしかしなくても・・・練習の邪魔してる?」


「・・・いや、たまにはいいだろう」


「やった。蓮優しいー」




蓮は優しい。

ただ、ちょっと不器用さんなだけ。




















◇◇◇





















「蓮って今度のコンサートで何弾くのー?」


「流浪の民だ」


「あ、梁ちゃんと一緒?」


「・・・・・・」




そういえば・・・香穂ちゃんが言ってた気がする!

蓮と梁ちゃんがすぐ対立するって!!

ってことはつまり、二人ともコンサートに出るってことだね!




「あっちょうどイイところにー!梁ちゃんー!」


に・・・月森」


「流浪の民!」


「はぁ?・・・あぁ、そういうことか」


「・・・わかるのか?」


「まぁな。の口から曲名が出て、月森がいるってことは弾けってことだろ?」


「そういうこと!・・・駄目?」


「・・・だそうだ。月森、お前はどうする?」


「・・・別に構わない」










† 悲しい気持ちは雨と共に飛んでけ †

(でも、なんだかんだいって二人の音ってちゃんと綺麗に重なり合うんだよね。)



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