† 優しい君の優しい一言 †
「こーら。駄目だよ?」
「あー見つかった」
「また・・・今回も思いっきりやったね・・・」
当事者である私よりも加地くんのほうが痛そうな顔してる。
そんな顔して欲しくないんだけどなぁー。
うん、ごめんなさい。
「そんなことないですよー」
「ほーら。ストップ」
「うぅ」
「さん」
「ん?」
「痛いでしょ?」
「ん、痛い」
「「それでもやめない」」
「・・・だよね?」
「ですねー」
「とりあえず、応急処置。絆創膏貼る前に傷口洗いに行こうね」
「えー水いやー痛いー」
消毒液よりはマシだけど・・・
やっぱり水でも痛い。
「駄目」
「加地くんの意地悪」
「さんが悪いんだよ?」
「むぅ」
うん、知ってる。
悪いのは私。
全部私が悪いの。
「あーもう。言ってるそばからやらないの」
「やーるーのー」
「さん。・・・怒るよ?」
「怒られるのやだー」
加地くん怒ったら絶対怖いもん。
だから、絶対ヤダ。
「じゃあ、今はやめようね」
「・・・はーい」
◇◇◇
「香穂ちゃん?どうしたの?」
遠くをじっと見てる香穂ちゃん。
目線の先には・・・ちゃんと加地くん。
「最近、と加地くんが仲良しなんです」
「うん、確かによく一緒にいるよね」
「やっぱり親友としてはちょっと淋しい・・・」
「・・・ちゃんも香穂ちゃんが俺と付き合ってくれることになった時同じ気持ちだったのかもしれないね」
今の香穂ちゃんと一緒で、淋しいって気持ち。
ずっと、させちゃってたんだろうね。
「あ・・・そっか、こんな気持ちだったんだ・・・」
「でも、香穂ちゃん」
「はい」
「香穂ちゃんはいつも通り二人に接してあげようね」
もし、前と同じことが起こったら・・・
ちゃんはきっと悲しんでしまうだろうから。
香穂ちゃんも、悲しんでるちゃんを見たくなんてないはずだから。
「・・・はい、そうですね」
◇◇◇
「加地くん、痛い痛い!!」
「我慢我慢」
「うぅ・・・」
加地くんは絶対にサドだ。
私が痛がってるの楽しんでみてるんだぁ!!
「はい、これでよし、と」
「ありがとー」
「どう致しまして」
指に綺麗に巻かれたばんそーこ。
でも、どんどん血が染み込んで綺麗じゃなくなっていく。
「さん」
「んー?」
「はい」
「あっチュッパチャップスー」
「痛いの我慢したご褒美」
「貰っていいのー?」
「うん、どうぞ」
「ありがと」
なんか子ども扱いされてるような気がするけど・・・
チュッパチャップス好きだし。
てか、加地くんって・・・飴と鞭の使い方上手。
† 優しい君の優しい一言 †
(でも、加地くんって基本的にすっごく優しいよね。)
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