† 甘やかすだけが全てじゃない †
「紘センセ」
「おー、どうした?」
「猫缶ー」
「また買ってきたのか」
「ん」
「・・・お前さん、また増えただろ」
「えー気のせいですよー気のせい」
気のせいじゃないけど。
また一つ増えたし。
紘センセもよく見てるなぁーうん。
さすがセンセ、生徒のことよく見てるもんね!!
「ちゃんと絆創膏張り替えてるか?」
「ん、梁ちゃんが」
コツン、って頭を叩かれる。
全然痛くないけど。
「自分でしろよー」
「ヤダ」
「はぁ・・・お前さんなぁー」
溜め息つれた。
むぅー。
だって、自分で張り替えるとか嫌。
面倒だからやらないし。
さすがに、お風呂のあとは自分で替えるけど。
「土浦が張り替えたのいつだ?」
「んー朝ー」
「・・・張り替えるか」
「紘センセが?」
本日二度目のコツン。
うぅー。
地味に痛いなぁーコツンって。
「お前さんなぁー」
「なんですかー」
「ほら、指貸せ。特別だぞー」
「はーい」
紘センセは器用。
だから、絆創膏も綺麗に巻かれる。
まぁ・・・絆創膏を綺麗に巻かれても絆創膏の下は綺麗じゃない。
私の弱い部分がいっぱい、いっぱい。
「あんまり増やすなよー」
「んー」
本日三度目のコツン。
さすがに三度目はちょっと痛かったです。
うん、ごめんなさい。
「ウメさんー紘センセが苛めるー」
ウメさんに泣きついてみよう。
うん、わかってた。
相手にしてくれないことくらい。
うぅー確かに紘センセのほうが付き合い長いけど・・・!!
でも、私だっていっぱい猫缶貢いでるんだもん!!
「さんー!」
「あ、加地くんーどーしたの?」
「・・・・・・」
加地くんが一瞬固まったように見えた。
あー・・・そっか、今日、まだ加地くんとちゃんと話してなかった。
だから、指見られてなかったんだ。
「さん」
「んー?」
「痛いでしょ?」
「ん、痛い」
痛いのは痛い。
痛くて痛くて、たまらない。
お風呂とか手洗いしたときとか最悪。
石鹸とかボディソープがしっかりしみます。
すっごい、痛い。
でも、やめられない。
「・・・蜂蜜檸檬食べる?」
「食べるー」
「・・・加地まで餌付けか」
「金澤先生も食べますか?」
「いや、いい」
「加地くんーもう一個ちょーだい」
「うん、好きなだけ食べていいよ」
「わーい、蜂蜜檸檬すきー」
加地くんの蜂蜜檸檬美味しいなぁー。
蜂蜜の甘さと檸檬のすっぱさがちょうどいい。
見事なコントラスト。
「ー気をつけろよー」
「えー?」
「変な男に声かけられてもついて行かないように」
「行かないですよー」
「・・・菓子で誘惑されるなよ」
「されないってばー子どもじゃあるまいし!」
「・・・・・・加地」
「はい?」
「あまりを甘やかすなよー」
「そんなに甘やかしていますか?」
「・・・・・・はぁ」
「センセーため息つくと幸せ逃げちゃうよー」
「ため息付かせてる人間が言うな」
本日四度目のコツン。
「ため息付かせてる人間って私?」
「お前さん以外にどこにいる」
「えぇー・・・世界中?」
世界中にいるよね、きっと!
絶対、私だけじゃないはず!!
「はぁ・・・」
「センセー喉渇いたー」
「今、コーヒーしかないぞー」
「んー・・・飲むー」
「了解。ちょっと待ってろ」
「・・・・・・金澤先生も十分甘やかしていると思いますけどね・・・」
† 甘やかすだけが全てじゃない †
(蜂蜜レモン好きー。甘酸っぱくて幸せな味ー。)
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