† 喧嘩してもちゃんと仲直り †
「あ、ちゃん・・・!」
「・・・・・・」
声かけたもののなんて喋ったらいいんだろ・・・
俺は、ちゃんに嫌われてる。
だって、俺がちゃんから香穂ちゃんをとっちゃったから・・・
ちゃんだって香穂ちゃんのこと大好きだって知ってるのに。
でも、とりあえず今は何か話さなきゃ。
折角、ちゃんも止まってくれたんだし!!
「あ、あのさ・・・!」
「火原先輩」
「な、何?!」
「勘違いしないでください」
「え?」
「私、確かに香穂ちゃんのこと大好き」
「う、うん・・・」
知ってるよ。
だって、香穂ちゃんもちゃんのこと大好きだから。
「でも、香穂ちゃんが火原先輩と付き合ってても火原先輩のこと、嫌いじゃない」
「え?」
「むしろ、火原先輩のこと好きだよ。香穂ちゃんが大好きな人だから」
「・・・ホント?」
「はい」
・・・俺、勘違いしてたんだ。
ちゃんと距離をとってたのは俺。
ずっと、嫌われちゃったんだって思って、逃げてたのは俺なんだ。
そっか、そうなんだ!
「てか、ホントに火原先輩勘違いしてた」
「え?」
「加地くんに言われたんです。火原先輩は絶対に勘違いしてるって」
「あはは・・・」
「でも、それは私の所為なんですよね」
「え?」
「だって、私ずっと火原先輩から逃げてたから」
・・・そっか。
俺とちゃんは同じなんだ。
二人して、お互いに逃げてたんだ。
でも、今は違う。
「だから、ごめんなさい。私、ホントに火原先輩のこと嫌いじゃないんですよ」
「うん、ありがとうちゃん!俺もちゃんのこと好きだよ!」
ちゃんは俺のこと嫌ってなんかなかった。
きっと、俺が香穂ちゃんと付き合うようになって、どう話したらいいのかわからなくなってただけなんだ。
それを俺は勝手に勘違いしちゃって・・・
「・・・火原先輩」
「ん?何?」
「香穂ちゃんのこと泣かせたら絶対に許しませんからね!」
「うん、もちろん!!」
前と同じだ・・・
俺が香穂ちゃんと付き合う前。
香穂ちゃんのことがすきなんだってちゃんに伝えたときに言われた言葉。
そのときと同じ笑顔。
きっと、俺も同じ笑顔なんだ。
もう、大丈夫。
「私、火原先輩なら香穂ちゃんのこと幸せにしてくれるって思ってるから」
「ありがとう、ちゃん。あっこれあげる!」
「カツサンド?」
「うん、仲直りのお礼に!」
喧嘩なんてしてないけど。
でも、うん・・・なんとなく。
ちゃんにあげたいって思ったんだ。
「ありがたくいただきまーす」
うん、もう大丈夫。
あー!今すぐ香穂ちゃんに逢いたいな!
香穂ちゃんがきっと俺とちゃんのこと一番心配してくれてたから。
だから、今この状況を見てもらって安心して欲しい。
それで・・・また、前に見たいに三人で笑いたい。
「・・・火原先輩と・・・?」
「「香穂ちゃんー!!」」
あ、声がハモった。
笑ってるちゃん。
その笑顔を見て、香穂ちゃんもわかったみたい。
俺たち、もう大丈夫だって。
「見てみて!火原先輩にカツサンドもらった!」
「・・・よかったね。」
「うん!心配かけてごめんね、香穂ちゃん」
「ううん!!本当によかった・・・!」
「あ、じゃあ私行くねー」
「え、もう行っちゃうの?」
「うん。二人のお邪魔はしませーん!」
「そ、そんな!全然気にしなくていいのに!!」
「あはっでも加地くんにお礼言いに行かなきゃなんです」
「え?」
「加地くんが気づかせてくれたから」
「そっか・・・じゃあ、俺の分もお礼言っておいてくれる?」
「はい、もちろん!それじゃあ行ってきまーす!」
◇◇◇
「加地くん・・・!」
「どうしたの?さん」
「あのね、ありがと!」
「え?」
「火原先輩とちゃんと話し、できたよ」
「そっか・・・よかったね」
「うん。だからね、加地くんにすぐにお礼言いたかったの。本当にありがとう」
「どういたしまして」
† 喧嘩してもちゃんと仲直り †
(よかった、本当によかった。ありがと、加地くん。本当にありがとう。)
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