* 水遣り *
「・・・成重、千鋃千艸はアレか単にズレてるだけだったのか・・・」
「そうみたいだね・・・」
「ラカンはいい奴だな」
「そうだね、虹。ここに来させられてよかったのかもしれないね」
「よかったんだよ」
「「え?」」
「成重さんも虹もここに来てよかったんだよ」
「あ・・・えっと・・・確か、ちゃん?」
「うん、」
よくよく考えたらちゃんと話すの初めてです!
近くで見てもやっぱり美人だよー・・・
うん、女としてはちょっとショックです・・・うん。
「ちなみに一番初めにココに飛ばされた人間です」
そう、私が一番。
二番目が千艸。
三番目が成重さんと虹。
「「・・・・・・」」
「妖芽の皇子がいる世界でも沙芽の皇子がいる世界でもなく・・・また別の世界から来たの」
「・・・・・・妖芽の皇子・・・沙芽の皇子」
「それはいずれわかるから。・・・ううん、わからなきゃいけない」
「・・・・・・」
「出会いは運命・・・今までもこれからも」
これからたくさんのものに出会う。
これはまだ、始まり。
「だから、よろしくね」
「あ、はい」
差し出した手を握り返してくれた。
多分、本当に自然に。
だから、私はこの運命を信じたい。
「あ、羅貫寝ちゃった?」
「あぁ・・・」
「話、出来た?」
「・・・・・・うん、羅貫に怒られるとちょっと嬉しい」
「・・・・・・」
うん、そうだ。
千艸ってこういう人だった。
これから苦労するんだろうなぁー・・・特に成重さん。
面白いからいいけど。
「少し、わかった?」
「沙芽の力さえ守れればいいと思っていた」
「・・・うん」
「・・・・・・羅貫に泣かれるとちょっと痛い」
「うん、痛いよね」
「どうしよう」
「答えは見つかるよ、ちゃんと」
千艸のどうしよう・・・っていう感情も。
ちゃんといい方向に進むから。
「逃げないでね、千艸」
「・・・・・・」
私に言えるのはこれだけ。
「・・・私もいいですか、隣」
「あ、成重さん。虹も。どーぞどーぞ」
聴かれてるの私じゃないような気がするけど。
主に千艸に対してだと思うけど。
でも、千艸何も言わないし・・・一応答えるのが私流なので!
「・・・・・・この子皇子だったらよかったのに」
それは願い。
でも、叶えられる願い。
・・・・・・だと、私は思う。
だって、羅貫は・・・沙芽の皇子。
私たちの皇子だから・・・・・・
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