† 私の心も、雪のように真っ白で純粋だったらよかったのに †










「あ・・・ヤバイ」




気持ち悪い・・・

ヤバイなぁ・・・吐きそう。

でも、ここで吐くのは女として嫌だ。




「・・・そうだ、電話」




・・・誰に?

ただ、ちょっと気分悪いだけなのに電話かける権利なんて、ない。

もし、電話しても出なかったら凹むの自分なのに。

あーなんか、余計に凹んできた。

もう、やだ。




「あれー?チャン?」


「白、蘭・・・?」


チャン?!顔色最悪だよ」


「頭、痛い・・・」




何言ってるんだろ、自分・・・

相手はジェッソファミリーのボスなのに。




「ねぇ。チャン、どうして欲しい?」


「・・・・・・」


チャン?」


「・・・・・・たす、けて」


「うん、了解ー」




あーもう、最悪。

助けて、とか言っちゃう自分。

ダメじゃん・・・うん。




「・・・ごめん、白蘭。やっぱりいい」


「だめ、それは聴かないから」


「・・・え?」


「そんな顔してるお気に入りの女の子置いて行けるわけないでしょ、いくら僕でも」


「・・・そんな顔ってどんな顔よ」


「こんな顔」




・・・・・・なんでタイミングよく鏡なんて持ってやがるかな。




「・・・うわっ最悪・・・」




なんか、化粧崩れてるし。

顔色悪いし、もう最悪・・・

あーなんていうか、女として嫌だ。

吐くのも嫌だけど、こういうのもなんか嫌だー。




「白蘭サンー出来れば顔見ないで」


「嫌」


「嫌じゃなくて・・・ホント、女として私が嫌だから」




こんなぐちゃぐちゃになっても何とかなるのはディノ相手だけだから。

ディノは不細工とか絶対言わないもんー。

ディノは大人なんですー。




「大丈夫大丈夫。可愛いから」


「いや、可愛くないから」


「・・・チャン、落ち着いた?」


「え?あ・・・うん、落ち着いた」


「そっか、よかったよかった」


「ありがとね、白蘭」


「どー致しまして。じゃあ行こっか」


「え?」


チャンお持ち帰り決定でーす」


「うわっちょ、ちょっと困るから!!」


「はーい、黙っててねー」


「なっちょっなんでお姫様抱っこ?!えぇ?!」


「はーい、行くよー」


「人の話を聞けーーー!!!!」


チャンー黙ってないとその口塞ぐよー」


「は?ふ、塞ぐって・・・!!」


「あ、塞いで欲しい?」


「ほ、欲しくない!欲しくないから!!・・・黙ってる!!!」


「えー残念」




















◇◇◇





















あーなんか、わかったような気がする。

ずっと前に・・・ヴァリアーに入隊したての頃にルッスが言ってたこと。




「・・・今から独り言だから聞き流してねー」


「うん、いーよ」


「私、綺麗でいたくて・・・綺麗な人間でいたくて卑屈になってたみたい」




綺麗な人間でいたかった。

そんなの、私がなれるわけもないのに・・・なんて思ってること自体卑屈だよね。




「無理矢理でも、綺麗な人間でいようと思ってた。だから、つい誰かを自分より下に見たり、否定しちゃったりしてるんだろうね」




そうする事で自分が綺麗な存在でいれるんだって・・・勝手に思ってた。

自分の幸せばっかり考えてた。

誰かを不幸にしても、幸せになりたかった。




「・・・ホント、馬鹿みたい」




結局全部空回りで。

沢山の人に迷惑かけて、嫌な思いさせて・・・

ホント、馬鹿。




「綺麗な人間とは程遠いよね」


「そうかな?」


「え?」


チャンは綺麗だよー」


「どこが?」


「自分のことを綺麗じゃないって言えちゃうあたりが」


「意味わかんないんだけど」


「うん、いいよ。わかんなくても大丈夫」


「・・・・・・」




















◇◇◇





















「じゃあ今からは僕の独り言ねー」


「え?」


チャンってさ・・・淋しいだけだと思うなー」


「淋しい、だけ?」


チャンー今の僕の独り言なんだけどー」


「ご、ごめんっ」


「んーん。チャン、答えたかったら答えていーよ」


「う、うん」


チャンって淋しくて、構って欲しくて・・・だから卑屈なこと言っちゃうんじゃない?」


「・・・・・・わかんない」


「考えずにすぐわかんないって答えるのはチャンの悪い癖だねぇー」


「・・・・・・」


「でも、それも淋しいからなんだよね」


「え?」


「だって、チャンって・・・沈黙とかカナリ苦手みたいだしー」




沈黙になるととりあえず喋っちゃうのがチャン。

しっかり空回りもしちゃってるけど。

無理に喋ると失敗しちゃうもんねー。




「・・・・・・」


「わかんないって答えれば少なくとも沈黙がなくなる可能性は高いもんね」




なんていうか・・・

人の声って言うのがチャンの安定剤になるのかなぁーって。

だから、空回りしてもチャンは喋るのかな?




「・・・・・・うん」


「あーゴメンね、チャン。別にチャンのこと泣かせたいわけじゃないんだけどなぁー」


「ご、ごめんっ泣くつもりは・・・っ」


「んーん、いいよ。泣いてもいいから」




あーなんか・・・自分が面白いことになってる。

誰かに泣いてもいいなんていうなんて・・・ね。




チャンってホント無駄に強がりだよねー」




肩の力を抜けない優等生タイプ。

しかも、割となんでも出来ちゃって周りから無駄に期待されて・・・

頑張りすぎて壊れちゃう・・・

そんなタイプだよね。

色んな意味で不器用、かなり不器用。




「でも、だからかな。僕はチャンのこと放ってはおけないみたい」










† 私の心も、雪のように真っ白で純粋だったらよかったのに †

(不器用な可愛い子。・・・本当に僕のものにしちゃいたいなぁー。)



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