†　戦うだけが勇気ではなく逃げるだけが勇気でもない　†










｢ただいまー｣


｢・・・なんでいるの？チャン｣


｢自分の部屋に戻ってきただけなんだけど｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・｣




あーイライラする。

目も合わせようともしない白蘭。




｢・・・キッチン勝手に借りるから｣




















◇◇◇





















｢はい｣


｢何これ｣


｢マシュマロココア｣




マシュマロ、ココア、マシュマロの三層構成。

スプーンをつけてあげるのは私の優しさ。

てか、ココア率が低いと思われる。

ほぼ、マシュマロ。




｢チャンのは？｣


｢エスプレッソ。マシュマロココアなんて激甘なもの飲めるか｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・｣


｢・・・・・・｣


｢・・・謝ることなのかは微妙なんだけど、ごめん｣


｢え？｣


｢あの時、白蘭の手を振り払って｣


｢いいよ、だってチャン一般人だし｣


｢それで終わらせないでよ｣


｢え？｣


｢私は、・・・・・・白蘭の手を掴めるようになりたい｣


｢でも、震えてる。今も、あの時も｣


｢・・・仕方ないじゃん。元々そういうこととは無縁な世界にいんだから｣




無縁、だなんて言えないかもしれない。

でも、少なくとも私の周りは無縁な世界だった。

目の前で知ってる人が・・・あんな風に銃で人を撃ち殺すなんて。




｢うん、知ってる。一般人なチャン｣


｢だから、一般人で済ませんな｣


｢・・・・・・｣


｢あのね、私は・・・ここにいたいの｣


｢・・・・・・｣


｢我侭なこと言ってるのもわかるし、矛盾もあると思う。でも・・・｣


｢・・・・・・｣


｢私は白蘭と一緒にいたいの。悪い？｣


｢うん、悪い｣


｢なっ｣


｢ホント馬鹿だよ、チャン｣


｢馬鹿言うな｣


｢馬鹿。バーカ｣


｢アンタは餓鬼か｣


｢チャンのほうが餓鬼だよー｣


｢・・・ねぇ。私、ここにいていい？｣


｢いーよ。もう、絶対離してあげない。何度僕の手を振り払っても、ね｣


｢離されてあげないから｣


｢あーあ。チャン折角僕から逃げれたのに｣


｢逃げるつもりなんてないんだけど。って言うか、逃げるなんて嫌｣


｢そんなこと言ってて逃げたくなっても知らないよー｣


｢そのときはその時。逃げるじゃなくて、飛び出すんだから｣


｢ダメ。僕はお城に閉じ込めたお姫サマを飛び出させてあげるほど優しくないよー｣


｢白蘭が優しくなくても、どんなに傷ついても・・・私はお城から飛び出すよ｣


｢なんかチャンなら本当に実行しちゃいそうだよねー｣


｢うん、もちろん。私はお城で座ってるだけのお姫サマにはなりたくないから｣


｢・・・そうだよね。そんなチャンだから、僕は捕まえちゃうんだろうねー｣










†　戦うだけが勇気ではなく逃げるだけが勇気でもない　†

(とりあえず、私は負けてないって信じてる！！)

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