† 過去なんか知らない、俺は今のお前が好きなんだ †
「!」
やっと見つけた・・・
「・・・雅治くん・・・」
「合宿の時みたいじゃね」
「・・・ごめんね」
「謝る必要なか」
「・・・・・・」
「ひとつ、聞いてくれるか?」
「・・・何・・・?」
「付き合ってた女たちと別れた」
「・・・うん」
「俺は酷い男じゃ」
「・・・・・・」
「一度に何人もの女と付き合ったりもしてた」
「・・・・・・」
「遊びとか、そんな付き合い方もしちょった」
一回限りの付き合いもたくさんした。
その度に女を泣かせてきた。
「女をたくさん泣かせてきた」
「・・・・・・」
「本気の恋なんてしたことがなかったんじゃ」
本気で女を愛することなんてなかった。
全部遊び。
その時が幸せならそれでよかった。
酷い男。
女泣かせの詐欺師。
「でも、初めて本気の恋をした」
「そうなんだ・・・」
「最初は興味があっただけじゃった」
本気になるなんて到底思ってもいなかった。
でも・・・
「今は愛しとぉよ、・・・」
「・・・・・・」
愛してる。
初めて女に向けて言った言葉。
「好きになって、ごめん」
「・・・酷いよ」
酷いと言う言葉が俺に突き刺さる。
何度も言われてきた言葉なのに・・・
に言われた言葉だから突き刺さる。
「ごめん」
「どうして謝るの?」
「・・・・・・」
「私は・・・雅治くんのこと、好きだよ」
好き?
「合宿の時、迎えに来てくれた時すごく嬉しかった」
「・・・・・・」
「暗くて、ひとりですごく怖くて・・・その時に浮かんだのは雅治くんだったの」
「・・・・・・」
「きっと雅治くんが来てくれるって信じてた」
「・・・・・・」
「私はね、今の雅治くんが好き。過去に何があったかなんて全然知らない」
過去を知れば知るほどきっとは俺を嫌いになる。
だから怖くて話せなかった。
「知りたくないって言えば嘘になっちゃうけど、雅治くんが言いたくないなら聞かない」
「・・・・・・」
「私は今の雅治くんが好きなの」
「・・・もう一回言って?」
「好きだよ、雅治くん」
微笑むの姿。
もう見れないと思っていた笑顔。
もう一度見たいと願っていた笑顔。
「・・・俺も好いとぉよ・・・」
初めて生まれた感情。
本気で人を愛するという心。
† 過去なんか知らない、俺は今のお前が好きなんだ †
(君を好きになってよかった。)
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