† 主よ、お許しください †
「あっ仁王先輩ー!」
あの目立つ髪の色が見えたと思ったら・・・・・・
先輩たちがいた。
あの真田副部長も。
柳先輩も。
ジャッカル先輩も。
柳生先輩も。
「お前から電話あったじゃろ、こいつらも行くって訊かんかったんじゃ・・・」
「そーっすか」
丸井先輩じゃないけど、なんかやっぱ俺も嬉しい。
ここにいる先輩たちはみんな先輩を想ってるってこと。
それがすごく嬉しい。
「はどうしてるんじゃ?」
「とりあえず今は丸井先輩といます。あっ結構元気っすよ」
「そりゃ帰るって言うくらいじゃからな」
何となく仁王先輩の瞳が優しかった。
珍しいこともある。
多分先輩限定なんだろーなー。
◇◇◇
「ちゃん元気かなー?」
なんて呑気に考えてる俺がいた。
でも、すぐにそんな気持ちを吹き飛ばされた。
目の前にいる人たち。
この前話をした、氷帝の人たち。
「こんなところでみんなお揃いで何をしているんだいー?」
「・・・千石か・・・」
今のこの人たちはかなり暗い。
理由はすぐわかった。
きっと・・・ちゃんに逢ったんだ。
しかも、偶然に。
「ちゃんに逢ったんだね」
「あぁ、そうや」
「ちゃんはまだ自分を責め続けてるんだね」
「うん・・・やっぱり俺たちがちゃんを壊しちゃったんだね・・・」
「それは君たちだけじゃないよ。君たち氷帝だけじゃない」
「青学、か・・・」
「うん、そっちの方も解決しなくちゃね」
多分、そっちの方が難しい。
氷帝はまだ・・・ちゃんを愛する気持ちがあった。
だから、道標さえあればどうにかなる。
でも・・・青学は違う。
あるひとりを除いては・・・ちゃんのことをちゃんと知っている人が居ない。
「確かに君たちもちゃんを壊したけどね・・・まだ迷いがあったから」
「そうだねー俺たちは迷っていた・・・愛しい存在を傷つけちゃうことに」
「でも、彼は違う。出来ればまだ逢わせたくないね」
「千石」
「何かな、跡部くん?」
「俺たちに出来ることはあるか?」
跡部くんたち氷帝に出来ること。
君たちはどうしてそれを俺に訊くの?
俺に訊いても意味がないと思うよ?
でも・・・彼らはまだちゃんとした道を見つけていない。
心は決まってもまだ、道がない。
時間が必要なんだ、彼らには・・・・・・
「自分たちが歩くための道を見つけておきなよ。もちろん、その道はちゃんも迷うことなく歩けるような道にしてあげてね。」
「あぁ」
ちゃんが俺を神様と言った。
だから俺はちゃんの神様になってあげる。
ちゃんを消すことも裁くことも出来ないけど・・・
あたたかな手を差し延べてあげる自信はあるからね。
◇◇◇
ごめんなさい。
どれだけ謝っても足りないの。
はやく私の罪を裁いて・・・
私がこれ以上罪を重ねてしまう前に。
「せんぱーい!お迎えきたっすよ!」
赤也の後ろには仁王くん、柳生くん、柳くん、ジャッカルくん、真田くん・・・
どうして?
「いつの間に名前で呼んどるんじゃ?」
「いーじゃないっすか、ねぇー先輩?」
どうしてそんな風に優しく名前を呼んでくれるの?
呼んでもらう資格、ないのに・・・。
「無言は肯定とみなしちゃいますからねー」
どうしてダメだよって言えないの?
私の名前なんて呼んでも・・・意味ないのに・・・
「嫌だったらちゃんと嫌って言ってくださいよね?」
「・・・・・・嫌・・・じゃない・・・」
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
私はまた罪を重ねてしまいました。
ダメなのに。
甘えちゃダメなのに・・・
「私もさんと呼ばせていただいても宜しいですか?」
「俺も!」
「俺も呼ばせてもらおう」
「構わないだろうか?」
何も言えなかった。
でも、頷いてしまったの。
「よかったな!もうみんなとフレンドリーじゃん☆」
どうしてそんなこと言うの?
私は罪人よ。
人殺しなのよ。
それなのに・・・どうして傍にいてくれるの?
あぁ、そうか・・・この人たちはのことを知らないから。
だから私に優しくしてくれるんだ。
だからこそ、私の罪の重さがわからないから・・・・・・
ダメ、これ以上この人たちを・・・もう私も罪を犯すわけにはいかない。
だから今日までにして、終わりにしよう。
全てを・・・終わりにしよう。
私の罪を裁いてもらいに行こう・・・・・・
† 主よ、お許しください †
(そして私は消えるから。)
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