† 俺にはそれが悔しくて悔しくて堪らない †
ねぇ、俺たちはちゃんとわかったんだよ。
君に対する想い。
だから・・・お願いだから・・・前みたいに笑ってよ。
◇◇◇
「ジローだぁ」
「ちゃんー膝枕ー」
「はいはい、喜んでー」
「ちゃん、優Cー!」
「その代わり、誰かに見つかるまでだからね?」
「えぇー?」
「だって、見つかったらお昼寝できないでしょ?」
「あっそか、じゃあ俺のとっておきの場所でにしよ!」
「そこなら見つからない?」
「今のところ誰かが来たことはない!」
「じゃあ行こうー」
俺はちゃんのことがすごく好き。
だって優しいし、膝枕もしてくれる。
でも、それだけじゃない。
ちゃんといるとあったかい気持ちになれる。
ちゃん自身がほわほわって感じだから余計に。
「うわぁーここってすごくとっておきの場所だね!」
「そーでしょー」
「ぽかぽかしてて気持ちいい・・・」
「ちゃんも眠い?」
「うん、眠い」
「じゃあさ、一緒に寝よ?」
「膝枕はいいの?」
「今日はいい!だから一緒に寝よ!」
「うん!」
ちゃんはいつも優しかった。
優しかった。
優しかった。
優しかった。
それなのに・・・ううん、それだから俺たちはちゃんに甘えすぎていたんだ。
俺たちに何も言わなかったのもちゃんの優しさ。
俺たちはその優しさを・・・ちゃんの笑顔を奪ってしまったんだ。
奪ってはいけなかった、が守ってたあの笑顔を・・・
◇◇◇
「ちゃん・・・」
「私の・・・罪を裁いて・・・!!」
ごめん、ちゃん。
本当にごめん。
「ねぇ・・・私の、私の罪を裁いてよぉ・・・!!」
ここまでちゃんを壊してしまったのは俺たちのせい。
全部俺たちが悪いんだ。
ごめん。
本当に、ごめん・・・・・・
「あなた達なら私の罪を裁いてくれるんでしょう?」
止まることのない涙。
俺たちじゃ止めてあげれない。
ごめん、ちゃん・・・・・・
「何やってるんっすか!?」
立海の・・・切原赤也。
「先輩!!」
彼はちゃんの名前を呼んだ・・・
◇◇◇
氷帝の人たち前に座り込んでいる人がいた。
それが先輩だと知るのに時間はかからなかった。
そして、思わず俺は叫んでいた、「先輩」と。
「ねぇ・・・どうして誰も私を裁いてくれないの?」
さっきからこの言葉を繰り返している。
どうしてこんなにこの人は自分を罪人とするのだろう?
この人は悪くないのに・・・・・・
「先輩、とりあえず帰りましょ?」
先輩の手をとって立たせてあげる。
素直に立ってくれた、よかった・・・
「じゃあ、俺たちは帰るんでさよなら」
一応、挨拶だけはしておく。
動こうとしない氷帝の人たち。
この人たちが先輩を傷つけた・・・許せない。
許さない。
許さない。
許さない。
◇◇◇
俺たちは動けなかった。
が連れて行かれるのを黙って見ているしかなかった。
誰も一言も声を発しようとしない。
「先輩・・・・・・」
長太郎が初めに口を開いた。
「俺たちは一体、どうすればいいんでしょうか・・・?」
本当に、俺たちはどうすればいいんだろうな・・・
裁いてくれという。
裁けない俺たち。
俺たちはもう、2度と交わることがないのかもしれない。
あの頃にはもう・・・
「もう・・・先輩は戻ってきてくれないのでしょうか・・・」
誰もが思っていること。
はもう、戻ってこない。
壊れた人形が動き出す時までは・・・
「俺たちはどうすればいいんだろうね」
「難しいよな・・・」
「全部俺たちが悪いんだCー」
「自分たちが蒔いた種は自分たちで処理せんとあかんよな」
「そうだな」
「ちゃんと花が咲くといいですね、先輩という綺麗な花が・・・」
という花。
俺たちを癒し、励ましてくれる小さな花。
小さく、優しい花・・・
「まだ時間はある。花は時間をかけて育ててもいーんじゃねぇーか?」
「そうやんな、ゆっくり行こか」
「俺たちがから奪ったものを少しずつ返していこうぜ!」
「いつか、俺たちにあの時の笑顔を見せてくれるといいねー」
自分たちが蒔いた種。
ゆっくりと時間をかけて花を咲かせたいと思う。
どうか、俺たちに時間を・・・・・・
† 俺にはそれが悔しくて悔しくて堪らない †
(時間をください。)
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