† 何かを守るためにはそれが善であれ悪であれ切り開かなければならない †
「銀、やったのか?」
「いいえ・・・」
大社の上には泰衡の姿。
銀の姿が見えて、泰衡が発した第一声がそれ。
「泰衡、話し合いくらいしなさいよ」
「殿、いらしたのか」
「ちなみに!銀を止めたのも私よ!」
「・・・・・・」
「申し訳ございません、泰衡様」
「あのね、御館はあなたに自分の立場を譲るそうだよ」
「・・・・・・」
「私はそれを伝えにきたの」
「・・・そうでしたか」
「そんなに神の力が欲しいの?」
「・・・・・・」
「北条政子・・・荼吉尼天に対抗するために?」
「ご存知か、鎌倉方についている神の存在を」
「うん、知ってるよ」
一体何度対峙しただろうか。
北条政子。
荼吉尼天。
最も・・・全てはゲームの世界だと思っていたときだけども。
「あの神がいる限り奥州の勝利は難しいものとなるだろう」
「だから白龍の逆鱗を手に入れる?」
「そこまでご存知とは感服いたしましたよ」
「当たり前でしょ、私を誰だと思ってるのよ」
「・・・・・・」
「様・・・それは・・・」
「いいの、今言わなきゃ後悔するから」
「しかし・・・」
「泰衡!私は万物の姫よ」
「万物の、姫・・・」
「知ってるでしょ?万物、この世界の全て・・・あなたの読む書物から見つけたんだから!」
やっと、ちゃんとした形で自分が何者なのかわかった。
別に、あの声を信じていなかったわけじゃない。
でも・・・確かな形が欲しかった。
そして、それを見つけた・・・この奥州で。
「あなたが・・・万物の姫」
「だからね、私の力を貸してあげる」
「万物の力が今、奥州のものに・・・」
「違うよ、勘違いしないで。力は貸してあげるけどそれは奥州のものじゃない、奥州のために使うだけ」
「同じことだと思いますが?」
「違うよ!ニュアンスが違うの!」
確かに力は奥州のものみたいなものかもしれない。
でも、違う。
この力は奥州が幸せになるために使うの。
「・・・・・・」
「意味がわかんなかったら、それはそれでいいよ。それよりも・・・ここで迎え撃つつもり?」
「大社を築いた理由もご存知のようで」
「当然!政子さんの軍と景時の軍が来るんだもんね」
「だからこそ・・・あの神に対抗するためには力が必要なのだ」
「みんなで戦えば何とかなると思うけど?」
今までだってそうだった。
ゲームでも・・・みんなで力を合わせて戦ってきた。
「これは奥州と鎌倉の戦い、九郎殿たちに手を貸していただくつもりはない」
「・・・泰衡の決めたことに口出しするのも失礼だけど・・・間違ってるよ」
「・・・・・・」
「一人で戦うのもまたひとつの道だけど・・・絶対に勝てる戦にしてよ」
「勝てる可能性は高い、万物の力が奥州にあるのならば・・・」
一人で荼吉尼天と戦って・・・
泰衡が勝つ可能性は高い。
私はその運命も知っているから・・・
泰衡がこの大社と真言・・・そして、白龍の逆鱗の力を使えば・・・
勝ち戦になるだろう。
「九郎たちは鎌倉に行くつもりだよ」
「何だと・・・?」
「頼朝を説得しにね」
この間、九郎はそんなことを言っていた。
この奥州が戦場になるのなら・・・その火種は間違いなく自分。
ならば・・・その責任は自分にあると。
だから危険とわかっていながら九郎は頼朝の許に行くと決めた。
「無駄なことを・・・」
「無駄かどうかはわからないじゃない」
何もしないで決め付けるのは嫌。
それに・・・九郎たちなら何とかできるって思うから。
「殿は勝ち戦をお求めなのではなかったのか?」
「そうだよ、勝ち戦しかしたくないね」
「ならばわかるはずだ、九郎たちはどんなに愚かなことをしようとしているか」
「愚かかな?」
「・・・頭を冷やされるがいい。銀、伽羅御所までお連れしろ、丁重にな・・・」
この展開ってもしかして・・・
「ちょっと閉じ込める気なの?」
「あなたの気が変わらないのでしたら」
淡々と言いのける泰衡。
その言い方が何となくムカつく。
「ふざけないでよ」
「銀」
「はい、泰衡様」
「泰衡!!」
「殿、俺はあなたを買いかぶり過ぎていたようだ」
「・・・間違わないで、泰衡」
「銀、行け」
「はい、泰衡様」
「銀!離しなさい!」
泰衡の命令で銀は私の腕を掴む。
でも、その表情は哀しそうで・・・
彼の心が伝わってくるよう気がする・・・・・・
「申し訳ございません、様」
† 何かを守るためにはそれが善であれ悪であれ切り開かなければならない †
(わかってる。わかってるつもりだけど・・・でも!)
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