† 待ってる、ずっと待ってるから †
「望美ちゃん、お願いがあるの」
「え?なんですか?」
「私、将臣と一緒に行って来るね」
「えぇ?!」
だって福原も行ってみたいじゃない・・・なんて言えないけど。
もちろん、望美ちゃんは将臣が還内府だってことも知らないみだいだしね。
「大丈夫、福原事変までには帰ってくるから」
「福原事変・・・」
「あのね、望美ちゃん。私は絶対に帰ってくるから私が帰ってくるまで福原事変が始まらないようにして欲しいの」
「・・・・・・」
「知ってるでしょ?福原事変での哀しい出来事」
「うん、先生が・・・」
「その運命を変えるためにも・・・ね?」
「でも・・・変えられるのでしょうか・・・」
「望美ちゃんがそんなに弱気になっちゃダメだよ!一緒に運命を変えるって決めたでしょ?」
「はい・・・」
「本当に運命を変えることが出来るのは心が強い人だけ」
平家のために運命を・・・歴史を変えようとしている将臣も心が強い人。
そして、望美ちゃんも。
あの悲しい運命にしないために、時空をめぐる力を得た。
この運命にいる人たちはみんな、心が強い人ばかり。
「変えたいという気持ちが強い人だけだよ」
「・・・・・・じゃあ、さんは運命を変えれますね」
「え?」
「さんだって心が強いもん、みんなわかってますよ」
「・・・・・・」
私は自分が強いかなんてわからない。
だってただ、選択肢のままに行動してきたんだもん、私は。
でも、この世界に来たいって思ってたのは本当だし、みんなを死なせたくないという思いもある。
運命を変えたいという想いだってきっと強い。
「だから、私・・・さんが帰ってくるのを待ってます」
「・・・ありがと、望美ちゃん」
「福原事変止めるの、手伝ってくださいね」
「うん、北条政子は止めれないけどね」
「え?!止めれないんですか?!」
「こればかりはどうにもならないんだよねぇ・・・」
あっひとつあった。
和議を結ぶということ。
でも、正直無理だと思うんだよねぇ・・・
和議を結ぶ、大団円のためには全ての人とのEDを迎えなくちゃいけない。
望美ちゃんはまだ2週目だし、私はゲームでEDを迎えただけだもん。
だから、無理、なんだよね・・・
「北条政子最強だから」
「頼朝さんじゃなくてですか?」
「源頼朝じゃなくて最強は北条政子だよーきっと」
なんて言ったって神様降りちゃってるんだもんねぇー。
荼吉尼天という怖い怖い神様が。
「それ、九郎さんに言ったら怒られそうですね」
「あはは、確かに」
◇◇◇
「リズ先生」
「・・・どうした?」
「私、福原に行って来ます」
「・・・そうか」
「運命を変えるためにも」
「・・・・・・」
「だから、みんなが福原に向かう前に迎えに来てもらえませんか?」
「・・・わかった」
「よろしくお願いします」
† 待ってる、ずっと待ってるから †
(待っててね、私が帰ってくるのを。)
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