† ありがとう、幸せだったよ †










「鎌倉殿」


「・・・・・・」


「あなたを守る神は消えました」


「・・・あぁ」


「あなたはこれからどうするおつもりで?」


「娘、お前の望みは何だ?」


「平泉と和議を結んで下さい。後は・・・これ以上争いは起こさないで下さい」




平泉と和議を結べば、平泉は安泰。

争いが起きなければ無駄に命が落とされることはない。




「あと、戦う気のない平家をこれ以上は追わないで下さい」




平家はもう、戦う気などない。

南の方で平和に生きていて欲しい。




「だが、平家は源氏を許さぬであろう?」


「それは大丈夫だ、俺が保障する」


「将臣」


「俺は・・・還内府、平重盛。平家は源氏と争わないと約束する」


「・・・ならば・・・仕方あるまい。平泉に使いを」


「それなら俺の烏を使いなよ」


「ヒノエ」


「熊野の別当・・・か」


「へぇ・・・よく知ってるね」


「熊野、平泉、平家、・・・源氏・・・全てを味方とした娘か」


「はい、みんな私の大切な仲間です」




一人じゃ何も出来なかった。

みんながいたからここまでのことを成し得た。

誰も死なない運命。

みんな、生きている。




「みんなで幸せを掴みに来ました、そして・・・みんなで幸せを掴みました」




たくさん笑って苦しんで。

対立もして。

それでも・・・この絆は切れなかった。




「これからも、幸せは続くんです」




みんなで幸せになる。

幸せになれる、絶対に。




「頼朝さん、あなたも幸せであってください」




戦の無い世の中。

・・・なんて、難しいことかもしれない。




「政子さんと幸せであってください」




荼吉尼天。

北条政子。

彼女たちも、幸せであって欲しいと、思う。

彼女たちを幸せに出来るのは・・・

彼女たちが愛した、この人だけ。




「そういうことなので・・・みんな、行こう?」


「え?どこに行くんですか?」


「うーん・・・どこでも。みんなと一緒ならどこに行ってもいいよ」


「えぇ、そうね。みんな一緒なら・・・」




どこにだって行けるよ。

みんなと一緒なら。




「行こう、みんな!」




目の前には私の大切な人たちの笑顔がある。

なんて、幸せ。

これからどんな困難が待ち受けていても、きっと大丈夫。

みんなが一緒だから。

笑顔が溢れているから。










† ありがとう、幸せだったよ †

(私、幸せだった!みんなに出会えて本当によかった!)










Fin...
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