† 女はいつの世も恐ろしい者だ †











「あら?一人で晩酌なんて淋しいね?」


「・・・か」




眠くないなぁなんて思ってちょっとお散歩ーなんて思ってたところで暇つぶし発見。

将臣なら話してくれるだろうし。




「お付き合いしましょうか?還内府殿?」




あっびっくりした顔してる。

そういえば・・・まだ還内府だってこと知ってること話してなかったような・・・

まぁいっか。

だって、知ってるんだもん仕方がない。

それに・・・小さい声でちゃんと言ったしね!




「・・・どうして知ってるんだ?お前は・・・」


「それは・・・秘密」




簡単に話せるような内容じゃないし。

簡単に信じてもらえるような内容でもない。

それに・・・将臣にもさっき秘密って言われたし!!




「でもね・・・将臣が守りたいものを傷つけるつもりはないよ」




将臣が守りたいものはきっと・・・平家のみんなだから。

私は平家のみんなを傷つけるつもりもない。

平和に生き延びて欲しいって思ってるんだよ。




「そっか・・・」


「だから・・・とりあえず、一杯どうぞ?」


「あぁ・・・サンキュ」




納得はいってないみたいだけど、

お酒のビンを片手に言えば、盃を傾けられる。




「お前も飲むか?」


「んー今日はやめとく」


「そっか」


「でも、呑まないけど晩酌には付き合ってあげるよ」


「サンキュ」


「いたか?!」


「そっちはどうだ?!」




ん?

警備の人たちの声?

もしかして・・・




「何か騒がしいな」


「ちょっと行って来る!!」


「お、おい!?!」




このパターンって・・・

敦盛が笛を返しに来た時と同じような気がする!

捕まったら拙いし!!




「すぐ戻るからちょっと待っててー」




どうせ敦盛のこと、将臣も知ってるし。

ここで逢っても全く問題なし。




















◇◇◇






















「こっち!こっちだよ!」


「あ、あなたは・・・?」


「とりあえず、敵じゃないから、こっちに来て!!」


「・・・・・・」




よし、まだちょっと不審に思ってるっぽいけど一緒に来てくれるし・・・

とりあえず、還内府殿に逢わせてみよう。

いきなり運命変えちゃってるけど・・・いいよね?




「将臣ー」


「おっ戻ってきたか・・・って敦盛?!」


「か、還内府殿・・・ですか・・・?」


「何してるんだ?」


「その・・・笛を返そうと思って・・・」


「でもその笛は大切なものでしょ?」


「しかし・・・兄上も琵琶を・・・」


「私、敦盛の笛聴きたいなぁ」


「え?」


「だから、大切にして、その笛」




勝手な言い分だよね・・・

でも、これ以上の言葉が思いつかない。




「・・・わかりました」




















◇◇◇





















本当にこの女は何者なんだろうな・・・?

敦盛のことも知っていた。

平家のことも知っているってことか・・・




「敦盛、無事帰れたかなー?」


「あぁ・・・多分大丈夫だろ」


「あっそうだ、明日付き合ってくれる?」


「デートの誘いか?」


「うーん・・・じゃあデートのお誘いってことで」


「・・・マジでデートなのか?」


「将臣がデートって言ったんじゃない!」


「ははっそうだったな」




多分、コイツは今は何も言わない。

俺が何を質問しても秘密を通すだろう。




「なぁ・・・」


「んー?」


「いつかは俺の質問に答えてくれるんだろ?」


「質問?」


「お前が何故、俺のことを知っているのか」


「うーん・・・さぁ?」


「・・・・・・」


「でも、そのことが必要になったら教えてあげる、全部」


「まぁ気長に待っててやるよ」


「気長に待ちすぎてお爺さんになっちゃったりして?」


「それ笑えねぇー」




侮れない女だけど・・・

正直、一緒にいて悪い気がしない。




「夜桜綺麗だねー」


「あぁ、確かにな」


「桜の木の下に死体が埋まってるって本当かなー?」


「・・・掘ってみるか?」


「マジ?」


「・・・・・・お前がマジならな」


「私は疲れそうだから反対ー」


「じゃあ言うなよ。埋まってるかなんて・・・」


「でも、死体が埋まってるから綺麗な花が咲くなんてなんか嬉しくないね」


「そうだな」


「アイスクリーム食べたいなぁ」


「お前会話に脈絡がないよな・・・」


「だって思ったこと口にしてるんだもん。将臣は食べたくない?アイスクリーム」


「この時代氷も高級品だからな・・・アイスクリームなんて作れるかも微妙だろ?」


「そうだよねぇー冷凍庫ないし」




他愛無い話。

こんな話・・・久し振りにしたな・・・




「じゃあ私そろそろ寝るねー」


「あぁ、じゃあ明日な」










† 女はいつの世も恐ろしい者だ †

(なんていうか・・・悪くないよな、コイツの雰囲気とか何もかも。)



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