† 誰かを愛し愛されることが、最も幸せで最高の幸福 †
「帯刀さんっ!」
「・・・くん。どうかしたのかい?」
「あのですねーじゃーん!!」
「・・・これは?」
「新しくできたカフェのチラシです」
「・・・つまりは君はここに行きたいと?」
「はいっ!・・・ダメですか?」
上目遣いに私を見つめる彼女。
わかっていてやっているなら、相当のやり手だね。
「・・・君、わかっててそんな顔するわけ?」
「え?」
「あのね、前にも言ったと思うけど、男は馬鹿な生きものなんだよ」
・・・私も馬鹿な男の一人というわけか。
上目遣いで紡がれる、彼女からのお願いに弱い・・・なんてね。
「帯刀さんは馬鹿なんかじゃありません!」
「そういうこと言ってるんじゃないでしょ」
君、馬鹿なの?
・・・といいかけてやめた。
この子は馬鹿なわけではない。
ただ、ただ・・・純粋、純真。
素直な少女なだけだ。
「・・・私、帯刀さんのこと怒らせるようなこと言いましたか?」
上目遣いで私を見つめる瞳が揺れる。
全く・・・彼女はまるで気づいていない。
私がこんなにもこの一人の少女に振り回されているということを。
「全く、君は・・・本当に、」
「本当に?」
「愛しくて仕方がないよ」
結局のところ、私は彼女に甘いらしい。
仕方がない。
先に落ちたのは間違いなく私だ。
一筋縄じゃいかない彼女、そんなこと、わかっている。
「ほら、早く車に乗りなさい」
「え、あのっカフェは?」
「そのカフェに今から行くんでしょ」
「帯刀さんっ」
ほら、やはり私は彼女に弱い。
その、花のような笑顔が見れただけで満足してしまうのだからね。
† 誰かを愛し愛されることが、最も幸せで最高の幸福 †
(全く・・・本当に、手強いお姫様だね。君は。)
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