† 世界一優しい国(本当に、優しかった国) †











「あ、那岐ー!那岐!」


「そんな大声出さなくても聞こえるよ」


「だって那岐、なかなか振り向いてくれないし!!」




二回も呼んだのに!!

全然振り向いてくれないのが悪いんだもん!!!




「僕だっていつでもの声に気づけるわけじゃない。風早じゃあるまいし」


「そりゃそうだけど。結構近くだったから・・・何か考えごとでもしてたの?」


じゃあるまいし、僕だって考え事の一つや二つあるよ」


「私じゃあるまいしってどういう意味よ!!」


「だってって基本的に何も考えてないし」


「わ、私だって色々考えてるつもりだよ!!」




この国のこととか・・・

この国のみんなのこととか・・・

・・・・・・那岐のこととか。




「・・・知ってるよ」


「え?」


はこの国の王としてちゃんと考えてるってことくらい知ってる」


「那岐・・・」


「当たり前だろ、誰よりも近くで見てるんだから」




なんていいながら、那岐と私の方へと近づいてくる。

珍しく、ちょっと笑いながら。










† 世界一優しい国(本当に、優しかった国) †

(この国が・・・私が幸せなのはきっと、那岐が傍にいてくれるからだよ。)
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