† 俯いた顔を上げさせるために、俺は唇にキスを落とした †
「アシュヴィンの馬鹿!!!」
「お、おい!」
「もう、絶対知らないんだから!」
「!」
「わっ」
いつものように部屋から出て行こうとした私。
その私の腕をアシュヴィンが掴む。
「いったい何を怒っているんだ、お前は」
「自分の胸に手を当てて考えなさいよ!」
「・・・・・・」
「・・・ホントにやるし」
変なところで素直なアシュヴィン。
しっかり、自分の胸に手を当てて考えてるし・・・
「お前が言ったんだろ」
「はぁ・・・」
「しかし・・・俺の花嫁はいったい何故ムキになって・・・」
しかも、わからないらしい。
私が怒ってる理由。
すごく、簡単なことなのに。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「言わなきゃわからぬこともあるだろう?」
「・・・だって、アシュヴィンなかなか戻ってこないし・・・」
リブがアシュヴィンが帰ってきたって言うから迎えに行ってみれば・・・
「宮中の采女たちと楽しそうに談笑してるし・・・」
「お前はそんなことでムキになってたのか?」
「そ、そんなことって・・・!!」
アシュヴィンにとっては普通のことかもしれないけど!!
皇子様だもんね!
普通のことかもしれないけど・・・でも!
「」
「何よ・・・・・・ンッ?!」
「可愛いな、お前は」
「な、な・・・っ!ンンッッ!」
「ははっ俺の姫は大層可愛らしく在らせられる」
「あ、アシュヴィンっ!」
† 俯いた顔を上げさせるために、俺は唇にキスを落とした †
(結局、その優しいキスで私は許してしまうんだよね。)
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