† 甘いお菓子はいかがですか? †
「あっいつもの3人組はっけーん!」
「あ、さん」
「どーも」
「・・・はぁ」
嬉しそうな顔してくれちゃってる杏里ちゃん。
軽い挨拶してくれちゃう正臣くん。
あからさまにため息ついた帝人くん。
「ねっねっ一緒にクレープ食べない?食べない?食べたいよね?」
「うわっ強制?!っていうか、むしろ命令?」
「え、そうなんですか・・・?」
「帝人くんヒドイなぁーお姉さんのささやかなお願いじゃないの」
「あ、あのっさん。私、クレープご一緒したいです・・・!」
「ホント?!やぁーんっやっぱり杏里ちゃんいい子ー!」
「はいはーい!俺も!帝人も行くよな?」
「はいはい、行くよ。行かせていただきますよ」
「よしよし、じゃーお姉さんがクレープ奢ってあげちゃいますか!」
「やりぃーー!」
「いいんですか・・・?」
「いーの、いーの。つい昨日お給料日だったし」
「俺、いまだにさんが社会人とか考えられないんですけど」
「一応、社会人頑張ってるんだけどなぁー」
社会の荒波にもまれながらね!
いやぁーホント社会って厳しいわ、うん。
今すぐ仕事なんて辞めちゃいたいくらいに・・・なんてね。
◇◇◇
「ささっ好きなの選んでいーよ」
「じゃあ俺、チョコバナナ!」
「私は・・・イチゴのクレープお願いします」
「俺はツナマヨサラダで」
「んー私は何にしよっかなぁーあ、これにしよ。ミルフィーユとオレオ・・・あ、全部一緒に払うから」
「あぁ、お代は結構ですよ」
「へ?なんで?」
「その代わり・・・この店壊されないようにフォローお願いします」
「あーそういうこと。りょーかい、善処しまーす」
確かにクレープ5つより・・・
お店壊されちゃうほうが被害は大きいっていうか雲泥の差。
じゃあ、私は何かあったらクレープ5つ分くらい頑張りますか。
「ありがとうございます、さん」
「いや、お礼ならこのクレープ屋のオジさんに是非」
「てか、普通にクレープ2つも食べるんですね」
「んーまぁ、この大きさなら何とか。お昼ごはんだし」
とりあえず、味の違う2種類をチョイスだし。
チョコ系とイチゴ系。
「あ、杏里ちゃん。一口ちょーだい」
「え、あ、はい」
「あ、もしかして嫌だった?嫌なら無理しないでね?」
「嫌じゃないです・・・!ただ、こういうことしたことなくて・・・」
「あ、なるほど。じゃー私のほうも嫌いじゃなければ一口でも二口でもどーぞ?」
「あ、ありがとうございます・・・あ、美味しいです」
「それはよかった」
やっぱり可愛いなぁー杏里ちゃん。
ついつい構いたくなっちゃうタイプ。
それこそ・・・
あの、罪歌の宿主とは思えないほど。
「あっれーじゃん?」
「うっわぁー噂をすればなんとやら?」
「あ、俺の噂してたんだー。俺がカッコいいって噂だよね?もちろん」
「んーまぁ、臨也が不細工じゃないと思うよー。シズちゃんと同じくらいカッコいいー」
顔だけならとりあえず美形の類に入るよ。
スタイルも悪くないし。
まぁ・・・性格にはカナリ問題があるけど。
「それは聞き捨てならないなぁ?臨也と並べんな」
「あ、シズちゃん。お仕事中?お仕事中?」
「あぁ、今は休憩中」
「なるほど。あ、シズちゃんもクレープ食べる?お仕事頑張ってるシズちゃんに私が奢ってあげちゃう」
「食う」
あ、シズちゃん嬉しそう。
甘いもの好きだもんねー。
「うん、いいお返事」
「シズちゃんずーるーい」
「臨也も食べたい?」
「んー別に。あ、俺はそれでいいや」
「は?」
臨也が近づいてきたかと思えば、ぬるっとした感触。
「ご馳走ーさま」
「いーざーやーくーん。テメェ今何したかわかってんのか?!」
「何ってーがお子様みたいに口にクリームつけてたから舐めてあげただけじゃーん」
「殺す。ぜってぇー殺す」
さてと、とりあえず・・・
クレープ5つ分くらいは働きますか。
「はいはーい、ストップストップ。喧嘩両成敗!!」
臨也にはオレオ。
シズちゃんにはミルフィーユ。
顔面にクリティカルヒット。
「!テメェ何すんだ!!」
「うわっ生クリームでベトベト」
「ほら、カルシウム不足を甘いもので補おうと」
「カルシウムなら魚でしょ。シズちゃんには煮干がお似合いー」
「いーざーやーくーん。なんなら今すぐ海の藻屑にしてやろうか!!」
「だからストップだってば。いい加減にしないと怒るよ、マジで」
「「・・・・・・ごめんなさい」」
「よろしい」
「お見事、さん」
「さすが池袋最強のお姫サマ!!」
「ほーら。二人ともクレープ食べる?クレープ」
臨也にはミルフィーユ、シズちゃんにはオレオを差し出してみる。
どっちも、彼らの顔にクリティカルヒットさせたもの。
「「いらない」」
「あ、やっぱり?」
そうだよねー。
自分じゃなくて、相手の顔にクリティカルヒットされたクレープだもんねぇー。
しかも、その相手が世界で一番嫌いな人間!
うん、私でも断るね。
まぁ・・・私には世界で一番嫌いな人間がまだいないけど。
「さーん。俺らそろそろ・・・」
「あ、うん。またねー」
「ありがとうございました」
「いえいえ、何もしてないんだけどまぁいっか」
あーでも、正臣くんには悪いことしちゃったなぁ・・・
まぁ、臨也と一言も会話もしてないけど。
近くにいるだけで嫌だろうしなぁー。
うん、ごめんね。
「てか、。よく人の顔にぶつけたクレープ食べれるよね」
「えーだって。二人の顔にチューするのと変わんないじゃーん」
直接的じゃなく間接的になっただけだし。
まぁ、この二人相手じゃなかったらさすがに嫌だけど。
† 甘いお菓子はいかがですか? †
(なんだかんだ言ってシズちゃんと臨也って仲イイよねー、喧嘩するほど仲がイイってやつ?)
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