* 078:痛む腕やふらつく身体に気付かなかったふりをして、立ち向かう *
「・・・・・・おい」
「な、何?」
「前だけを見て走っていると転ぶぞ」
「え?」
「・・・なんだ、その顔は」
「いや、なんていうか・・・珍しいなぁーって」
知盛がそんなこと言うなんて、ねぇ?
「俺はただ、事実を述べただけだ」
「まぁ事実と言えば事実だけど」
「傷はつけるなよ」
「えーそれって約束しにくくない?」
傷なんていつの間にかできるし。
切り傷なんてしょっちゅうだし。
「・・・お前の血は美しい」
「何よそれ」
「お前に傷をつけていいのは俺だけだろう?」
「まぁ・・・自然にできた傷を除いては」
「他の奴の前では血を流すなよ」
・・・・・・なんか、会話変じゃない?
知盛の前でもできれば血は流したくないって。
いくらこの人が好戦的な戦好きでもねぇ?
「お前の血も、お前自身も・・・俺のものだからな」
「独占欲強すぎ」
「・・・・・・」
「でも、嫌いじゃないよ」
078:痛む腕やふらつく身体に気付かなかったふりをして、立ち向かう
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平知盛 by 遙かなる時空の中で3
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