*　067：指先にほんの僅かに力を入れた程度で吹き飛んでしまうほどのものなら　*











｢鬼はー外、福はー内｣


｢？何やってるんだ？｣


｢見てわかるでしょぉー豆まきだよ｣


｢・・・なんでここで？｣



将臣くんのその疑問、非常によくわかるような気がします。

だってここ、平家のお邸だし。

福原だし。



｢豆まきしに来たの｣


｢だから、何でだよ？｣


｢だって・・・ここで豆まき面白そうじゃん｣



別名、やりたい放題。

梶原邸じゃー後片付けしなくちゃ朔に怒られるし。

まぁ譲くんに押し付けるけど。



｢あのなぁーお前が片付け面倒なだけだろ｣


｢う、バレた？｣


｢バレバレだっつーの｣


｢いいでしょ？将臣くんもしたくない？｣



必殺、上目遣い。

将臣くんに結構効果ありだし。



｢はいはい、お付き合いしますよ。オヒメサマ｣


｢やった！｣


｢ちなみに鬼役は？｣


｢出てくる男全て｣



とりあえず将臣くん以外にしてあげよう。

屋敷提供者ってことで！

それに・・・もしもの時は全責任をとってもらわなくちゃだし。



｢還内府殿！騒がしいですよ！！！｣


｢ほら、。目標物｣


｢ラジャ。鬼は外、福は内ー！！！｣


｢な、何をなさるんですか！！｣


｢豆まきだよ｣



将臣くんの後ろに隠れて顔だけ出して言ってみる。

だって惟盛本気で怒ってるんだもん。

やっぱり命中したのがいけなかったんだね。

とりあえず・・・逃げるが勝ち。



｢・・・・・・還内府殿｣


｢俺に怒るなよなぁー｣


｢あなた以外に誰に怒れと言うんですか！！！｣


｢コイツだろ、コイツ｣



将臣くんの後ろに隠れてたのに将臣くんの前に立たされる。

やっぱり惟盛は怒ったまま。

でもちょっと綺麗だからムカつく。

流石平家の血。



｢・・・・・・｣


｢惟盛ってさぁー結構綺麗だよね｣


｢結構は余計です｣


｢じゃあ、綺麗だね｣


｢・・・・・・小娘、少しは見る目があるようですね｣


｢小娘ってやめてよ｣


｢では・・・木之花咲耶姫とお呼び致しましょうか｣


｢このはなさくやひめ？誰？｣


｢ふふ、知らなければそれはそれで構いませんよ｣



とりあえず、惟盛の愛人じゃないことを祈ろう。

多分、将臣くんに説明求めてもわかんないだろうし。



｢還内府殿に惟盛殿？｣


｢あっ経正さん！！｣


｢神子殿もご一緒だったのですね｣


｢はい！｣


｢今日は何をしにいらしたのですか？｣


｢鬼は外、福は内ー！｣



・・・・・・よく考えたら経正さんって黒いんじゃ・・・

豆投げても反応なしだし。

ニコニコ笑ってるし・・・！！

やばい？非常にやばい？



｢・・・経正さん？｣


｢はい、どうしました？｣


｢怒ってますか？｣


｢大丈夫ですよ、神子殿のような可愛らしい方の可愛らしい悪戯でしたらね・・・｣


｢経正さん・・・｣



・・・将臣くん、投げる体制でフリーズしないでクダサイ。

まさか・・・経正さんのオーラにやられちゃった？！

うわぁーご愁傷様。



｢経正殿？誰かと一緒に・・・｣


｢重衡殿｣


｢あぁ、十六夜の君とご一緒だったのですね｣


｢重衡さん！｣


｢神子様、銀で宜しいですよ？｣


｢あ、じゃあ・・・銀｣


｢はい、何でしょう？｣


｢鬼はー外！福はー内！｣


｢・・・・・・｣



・・・・・・銀も経正さんと同じ属性？！

笑ってるよ笑ってるよ！！！

銀もブラック属性？！

将臣くん助けてー！ってフリーズしたままだし。

使えない・・・！



｢神子様・・・｣


｢は、ハイ！｣


｢大丈夫ですよ、怒っていませんから｣


｢・・・・・・｣


｢神子様は本当に可愛らしい方ですね｣



・・・ここで豆まきなんて・・・間違ってたかもしれない！！

こっちのほうが黒い人多い！！

せっかく弁慶さんから逃げれたと思ったのに！！

これならおとなしく梶原邸で豆まきしたほうがよかったかも・・・




















067：指先にほんの僅かに力を入れた程度で吹き飛んでしまうほどのものなら










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平家一門　ｂｙ　遙かなる時空の中で3　十六夜記

場所は考えなくてはいけないと今日知った。

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