* 045:空の在り処を知っているのなら、どうか教えてください *
「こんなとこにいて寒くないわけ?」
先輩がいたのは屋上。
しかも、真冬の。
寒いから、先輩以外当然誰もいないし。
「別に寒くないよー」
嘘つき。
震えてるじゃん。
「でも俺は寒いんだけど」
「大丈夫?」
「ねぇ、手、繋いでてよ」
返事は聞かずに先輩の手をとる。
先輩の手は予想以上に冷たかった。
「先輩も寒いんじゃん」
「んーそんなことないよー」
「とりあえず、手は離さないから」
「ん、いいよ」
手は繋いだまま。
先輩は震えたまま。
それでもここから動こうとしない。
「ねぇ、先輩。そろそろ戻ろうよ」
「ヤダ」
「全く・・・先輩って我侭すぎ」
でも、そんなところも可愛いと思う。
まだ許せる範囲だしね。
「だって屋上って好きだもん」
「そりゃ俺も別に嫌いじゃないけど」
「じゃあいいじゃん」
「はぁ・・・」
自信満々な先輩。
だって、俺のほうが先輩に惚れてるから。
俺がここで先輩を置いていけないこと知ってるから。
「先輩ってずるい」
「そう?」
「まぁ・・・先輩と一緒にいれる時間が長くなるしいいけど」
ホント、まだまだだよね、俺も。
045:空の在り処を知っているのなら、どうか教えてください
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