* 神にだに 恨をかけん とがもなし 又此うへの 憑みなき身は *










「李、如何?」


「李・・・?あぁ、美味そうだな。ひとつもらう」


「はい、どうぞ・・・あっ・・・あなたは・・・哀しい運命の中にいるんだね」



李を渡す時に視えた彼の心。

この人は・・・哀しい運命の中で、戦っている・・・



「・・・どういう意味だ?」


「そのままの意味・・・平重盛の名は重い?」


「何でそれを知ってる・・・?」


「私にはあなたの心が視えた」


「心・・・?」


「うん、昔から・・・生きているものの心が視えるの」


「・・・・・・」


「気持ち悪い?私が」



人の心が視えるということは・・・本来人の力の持つではない。

でも・・・この力を認めてくれる人もいるから・・・



「いや、別に」


「優しい人だね、あなたは」


「・・・さぁて、それはどうだろうな?」


「あなたを待つ人がいるんだね」


「あー・・・それも視えたのか?」


「うん、平知盛・・・平家の将」


「お前、何者だ?」


「そうだね・・・私は・・・」


!!」


「・・・って言うの」


「・・・・・・将臣?」


「あー・・・確かヒノエだっけ?」


「あれ?知り合いだったの?」


「まぁ・・・一応な」


「ふふ、気になるなら手に触れてみるかい?」



差し出されたヒノエの手に触れれば視えるのは・・・

彼等を八葉だという、この間垣間見た神子様の姿。



「八葉・・・白龍の神子様にお仕えする方」


「正解」


「で・・・お前は何者なんだよ?」


「私は・・・と言ったでしょう」


「いや、名前じゃなくて・・・な」


「そうだねぇ・・・心視の巫女と呼ばれることもあるかな」



その名の通り、心を視るということ。



「そしては俺の愛する姫君」


「ヒノエ、お戯れはどうかと思うけど?」


「戯れじゃなくて本気なんだけどね」


「・・・有川」


「・・・どうした?っていうか何でこんな所にいるんだよ」


「懐かしい声が聴こえたからな・・・」


「懐かしい声?」


「あぁ・・・、久しいな」


「本当に、すごく久しぶり・・・知盛」


「知盛、知り合いなのかよ」


「まぁな、昔・・・寝屋を共に・・・」


「してないでしょ」



全く、ヒノエといい知盛といい・・・一体何を言いだすのかしら。



「ははっお前可笑しな女だな」


「可笑しな女とは失礼ね。これでも熊野で大切にされている巫女なんだけど?」


「大切にされてる女が李売りするかよ」


「あっやっぱり?でも突然近づかれたら驚くでしょう?」


「・・・・・・」


「本当はね、あなたが熊野に来たときから知ってたよ」



知盛と熊野に来たのは平重盛だと烏が言っていた。

だからちょっと気になったというのが本当。



「ちょっとね、気になってたの。あの重盛殿によく似ていらっしゃるし」


「・・・


「なに?知盛」


「ひとさしどうだ?」


「私に舞わせる気?」


「あぁ・・・お前以外の舞手は興味がない」


「いいね、の舞か・・・俺も観たいな」


「ヒノエも知盛も・・・どうせなら二人が舞いなさいよ」



「「・・・・・・」」



「えっと・・・将臣よね?あなたも観たいでしょ?知盛とヒノエの舞」


「将臣、の舞は絶品だよ。なにせ・・・熊野が誇る巫女様の舞だからね」


「そうだぜ・・・有川。の舞は観ていて心地よい」


「あー・・・じゃあ俺もの舞希望」


「・・・本当に重盛殿とそっくりなんだから」


「重盛兄上もの舞を好んでいたからな・・・」


「決まりだね、


「もう・・・雷雨になっても知らないわよ?」


「クッ・・・それもまた一興だな」


「雷雨だぁ?何でまた・・・」


の舞はの心が反映する、熊野の自然はの心を反映するからね」


「つまり・・・無理やり舞わされて怒ってる・・・だから、雷雨ってか?」


「そういうことだ」


「それでもよければ舞うけど?」


「雷雨に打たれても観る価値はあるよ、の舞は」


「じゃあ折角だし舞ってもらおうかな」


「・・・だそうだぜ、姫」


「はいはい、全く・・・物好きばかりね」




















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瑞穂様からのリクエストで・・・

ヒノエ・将臣・知盛の主人公さん争奪。

主人公さんは望美ちゃんや朔ちゃんのように不思議な力を持った方。

・・・・・・争奪してない?!

争奪って難しいですねぇ・・・すみません、リクにかなっていないような気さえします・・・

そして、不思議な力というのもイマイチ表現が・・・すみません・・・

リクエストありがとうございました。


神にだに 恨をかけん とがもなし 又此うへの 憑みなき身は

恋が実らないので、神にさえ恨みを抱いてしまう、そんな恐ろしい罪を犯したことはないけれど。
これ以上、頼りとするもののない我が身はつらいものだ。
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