* 世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし *
「姫様、失礼致します!」
「何じゃ?騒々しいのう・・・」
「も、申し訳ございません!!」
この者は・・・初めて見る顔じゃな。
新参者の女房ということか・・・
「よい、用件を話してみよ」
「は、はい・・・その・・・いつもの方々がいらっしゃっております」
「ほう・・・あやつらはまた来たのか、飽きぬのう・・・?」
「如何なさいましょう」
「そうじゃの・・・」
いつもの奴らということは・・・少々気性の荒い者もおるからのう・・・
無碍にしようとするのであれば、乱闘が起こるであろう。
わらわに知らせに来たこの者も可哀相なことになるかもしれぬ。
「よい、招き入れい」
「わ、わかりました、そのように」
「そう硬くならぬともよい」
「は、はい・・・!」
「そなた・・・菓子の用意を頼む」
「畏まりました」
あやつらは・・・酒が所望かもしれぬな。
まぁ、よい。
わらわが点てる茶でも飲んで頂くとしよう。
「失礼する」
「ー入るぜ」
「おぬし等も飽きぬのぉ」
「「・・・・・・」」
「まぁよい、茶は如何か?」
「・・・頂こう」
「重盛・・・いや、将臣はどうする?」
「あー俺ももらう。が点てるんだろう?」
「・・・俺はが点てる茶以外は飲まん」
全く・・・知盛は我侭な男じゃな。
この間も知盛付きの女房が愚痴を言いに来た。
この男が自分が点てた茶を飲まぬ、と・・・
「そなた付きの女房も困り果てていたぞ」
「・・・・・・」
「、そんな風に言ったらまたコイツが不機嫌になるだろ!」
「知らぬ、兄であるそなたが何とかすればよかろう」
「・・・・・・」
「姫様、菓子の用意が・・・」
おぉ、見事な時を見ての登場じゃな。
この女房はなかなか見込みがありそうじゃ。
ただし・・・この知盛の睨み付けにめげぬのであればの話じゃが・・・
「し、失礼しました・・・!」
「よい、こちらへ」
「・・・・・・はい」
「今日の菓子はどのようなものじゃ?」
「は、はい。季節のものとして桜を模様した水菓子にございます」
「ほう・・・綺麗なものであるな。そうは思わぬか?知盛」
「・・・・・・お前ほどに美しきものはあるまい」
「・・・知盛って口が達者だよなー」
「クッ・・・重盛兄上は口下手でいらっしゃる」
「「・・・・・・」」
「知盛、将臣、剣を交えるのであれば庭でせい。ただし・・・桜の木には傷はつけぬように」
「桜の木?」
「そうだ、今朝蕾が花開いてのぉ・・・」
「ほう・・・早咲きの桜か」
「こっからじゃ見えねぇーな」
「庭に出てみてもよいぞ、将臣」
「マジ?折角だし、外で茶、点ててくれよ」
「寒くても知らぬぞ?」
「大丈夫だって、なぁ?知盛」
「・・・俺はお前の茶が飲めるのであればなんだって構わん」
「ならば・・・外に用意を頼む」
「畏まりました」
「苦労をかけてすまぬな」
「いえ!滅相もございません!」
「・・・結構なお手前で」
「ごちそーさん」
この兄弟はほんに似ておらぬな・・・
最も、将臣が重盛であらぬ以上、兄弟というには語弊があるかも知れぬが。
しかし・・・たまにわらわでも重盛と将臣が重なって見えることもある。
そのようなことを申せば将臣は怒るだろうがな・・・
「六波羅の桜は如何じゃ?」
「桜?あぁ・・・あのでっかいのな」
「まだ満開までは時間がかかるだろう」
「そうか、六波羅の桜も美しくてわらわは好きじゃ」
「じゃあ次は六波羅の邸に来いよ」
「よいのか?」
「当然だろ、なら皆大歓迎だって」
「じゃあ行かせて頂くとするかのぉ・・・」
「・・・邸に来る時は俺に言え」
「あっ知盛ずりぃーぞ!!」
「・・・早い者勝ちであろう?」
「ったく・・・こういう時だけ行動早いよな、お前」
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
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彰月佑衛様からのリクエストで・・・
主人公さんは古めかしい口調のお姫様で、知盛vs将臣です。
・・・・・・知盛vs将臣になってるか不安です・・・(汗)
古めかしい口調の主人公さんを書いたことがなかったのでなんかすごく新鮮でした。
ちゃんと古めかしくなっているかという不安も残りますが・・・
そして・・・妙に長さになってしまい、話の展開がよくわからないような気がします・・・(汗)
リクに適ってなかったらすみません!!
佑衛さん、リクエストありがとうございました!!
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
この世の中に全く桜というものが無かったならば、春を過ごす心はのどかであったろうよ。
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