* 逢瀬 *











「姫君、ちょっといいかな?」


「ヒノエ?どうしたの?」


「平泉ではお前と二人で過ごしていなかったからね」


「え?」


「俺との逢瀬は如何かな?」



そういえばそうだね。

ヒノエが平泉に来てから・・・

呪詛とかの件もあって、ヒノエとゆっくり離す機会もなかった。

熊野のこととか聞きたいし・・・うん、いい機会だね。



「うん、喜んで」


「じゃあ行こうか。・・・二人きりになれるところにね」


「ヒノエ、平泉にも隠れ家があるの?」


「まさか、でも・・・この地にも隠れる場所は十分にありそうだね」


「流石に熊野には敵わないだろうね」


「ふふ、流石だね姫君。熊野のことをよくわかってる」


「でも、熊野の頭領には敵わないよ」



熊野のことを一番よく知っているのは・・・

熊野を守っている歴代の頭領たちだろうから。

あの、熊野の大自然を守っているのは、守れているのは・・・

強い心を持っているから。



「嬉しいね、お前に誉められると」


「ねぇ、ヒノエ」


「ん?」


「熊野のこと聞かせてね」


「あぁ・・・その前に」


「その前に?」


「出て来いよ」


「・・・やはり、気付かれてしまいますか」


「隠れる気がない奴はすぐ見つかるよ」


「そうですか」


「弁慶?!」



・・・前に熊野でもこんな展開があったような・・・

っていうか、私は全然気がつかなかったんですけどー・・・

人の気配とか結構わかるつもりでいたのに、ダメだね。



「驚かせてしまってすみません、さん」


「ううん、大丈夫」


「叔父上殿も聞きたいのかな?熊野のことを」


「えぇ・・・それもありますが」


「ふふ、俺と姫君が二人きりなのが許せないとか?」


「なんだ、気付いていましたか」


「あぁ、やっぱりね。そんなことだと思ったよ」


「熊野の事が気になるのも事実ですよ」


「はいはい、わかってるよ」


「で、熊野はどうなったの?」


「大丈夫だよ、前にも言っただろう?」


「うん・・・」



そうだね、平泉に来た時も言ってた。

熊野は大丈夫だと・・・

でも、私が招いたことでもあるから・・・この結果は。

熊野を危険な目にあわせたのも少なからず、私が関係してる・・・



「そんな顔するなよ、


「・・・・・・」


「今のお前の表情はあまりに哀しげで・・・俺の心を締め付けてしまうからさ」


「ヒノエ・・・」


「俺が熊野の頭領なんだぜ?ヘマはしないさ」


「・・・そうだよね、うん。ヒノエが熊野の頭領だもんね」


「ふふ、やっと笑ったね」


「え?」


「平泉に来てから・・・お前の花のような笑顔があまり見れていなかったからね」


「色々あったから・・・望美のこともあるし」


「言っただろ?お前は笑ってろって」


「・・・言ってたね、ヒノエと別れた時に」


「お前は俺たちの光だよ。なぁ?叔父上殿?」


「えぇ・・・そうですよ。さんは僕たちの光です」


「私は・・・」


「その先に言葉を口にしてはいけないよ」


「ヒノエの言うとおりです」


「お前が笑ってる、それだけで・・・俺たちの未来は明るいよ」


「君の笑顔が僕たちに道を示してくれるのですから・・・」



彼等が私を光と言ってくれるのならば・・・

私にできることがあるのならば・・・

私は幸せな運命のために、全力を尽くすよ。

みんな、私にとって大切な人だから・・・



「やっぱりお前の笑顔が俺は好きだよ」


「ヒノエ・・・」


「本当に、君は・・・可愛らしい人ですね」


「弁慶まで・・・もう・・・二人とも、ありがと」




















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火原あんず様からのリクエストで・・・

万物主人公さんと朱雀組の絡みなストーリーです。

実は・・・まだ、本編では平泉についていません。(汗)

でも、やっぱり平泉で会話したいなぁ・・・っと思ってちょっと未来的です。(笑)

本編の平泉のストーリーがUPされたら・・・

間にこんなお話もあったんだなぁって思っていただければと思ってます。

場面的に熊野くらいのイメージでリクエストしてくださったのでしたらすみません。(汗)

あんずさん、リクエストありがとうございました!
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