* 逢ふまでと せめてのいのちの をしければ 恋こそ人の 祈りなりけれ *










「・・・将臣くん、それはどういうことかなぁ・・・?」


「はは・・・」



呆れたように笑っている将臣くんの後ろで敦盛くんがオロオロとしているのが目に見える。

全く・・・あの人は本当に・・・



殿、その・・・すまない」



敦盛くんが本当に申し訳無さそうに謝ってくるものだから・・・ここは折れるしかないのね。

源氏側の準備は殆ど出来てしまっているのに・・・



「敦盛くんのせいじゃないわ」



悪いのはあの我侭お義父様だもの。

ゲームのように、簡単に説得はされてくれなかったのね・・・



「まぁこういうわけだからさ・・・頼むよ」


「わかったわ」


「サンキュ」


「いえいえ、敦盛くんも将臣くんも苦労するわね」


「まぁな・・・」


「・・・・・・はい」


「じゃあ早速福原に向かわなくちゃね」



こちらの準備は出来てしまっている。

源氏側が和議を結ぶ気になっているのに、平家の説得が出来ていないんじゃ話しにならない。

この状況が長引けば平家は和議を結ぶ気がないとされて・・・また戦乱に世になってしまう。

全く・・・本当にあのお義父様は・・・



「いや、向かう必要はないぜ」


「え?」


「アイツが連れてきた」


「・・・アイツ?」



誰かが清盛お義父様を連れてきたということよね・・・

誰かしら・・・?



「まぁ俺たちもその船に乗ってきたんだけどな・・・すごいぜ」


「すごい?何が?」


「船に乗せられているものが・・・だな」


「一体何が乗っているの?」


「それはまぁ・・・見てからのお楽しみだ」


「じゃあアイツと言うのは?」


「あー・・・アイツだよ、アイツ」


「・・・アイツアイツ言われてもねぇ・・・」


「戦好きのよくわかんねぇ奴だよ」


「あ、わかった。知盛ね」


「正解」


「でも、知盛がどうして一緒に?」


「それは俺もわかんねぇ・・・」


「とりあえず、行かなくちゃなのよね」


「あぁ・・・清盛の説得はお前にかかってるからな」


「うわぁ・・・大任ね」


「お前なら大丈夫だって」


「清盛お義父様ってば・・・一体どういうつもりなのかしらね・・・」


「・・・さぁな・・・」


「将臣くん、何となくわかってるでしょう?」


「・・・・・・バレたか」


「知っていることを白状しようね?」


「あー・・・とりあえず、清盛はお前に言いたいことがあるんだよ」


「言いたいことねぇ・・・」


「まぁとりあえず、逢ってやってくれよ・・・清盛と知盛にな」


「了解」




















「・・・・・・何よ、これ・・・」


「久しいな、!」


「清盛お義父様、この大量の荷物は一体・・・?」


「花嫁衣裳じゃ」


「・・・・・・花嫁衣裳?」



誰か婚儀で結ぶのかしら?

まさか清盛お義父様が?!

うーん・・・それはありえないわね、二位の尼さんとラブラブだもん。



「そうじゃ、見るがよい!」



平家の女房さんがかかっている布を取るとそこには見事な白無垢。



「どうだ?気に入ったか?!」


「気に入ったかって・・・言われましてもねぇ?」


「・・・気に入らんか?のためにこの義父が用意したのじゃぞ!」


「え?私ですか?」


「そうじゃ、重盛から聞いておらんのか?」


「いえ、何も聞いていませんが・・・?」



将臣くんはとりあえず清盛が説得に応じてくれないって言ってただけだし・・・

私に言いたいことがあるってことしか聞いていない。



「和議を結ぶのは構わん!その代わり条件があるのじゃ!」


「条件、ですか・・・」


「そうじゃ、は重盛か知盛、どちらを夫としたいのじゃ?」


「・・・・・・」



ちょっと待って。

つまり・・・和議を結ぶ条件って・・・

私に将臣くんか知盛と結婚しろってことー?!



「両方でも構わんぞ!!」


「もう、清盛お義父様ってば、お茶目さんね」


「・・・、清盛は本気だぜ?」


「・・・マジ?」



後ろから現れた将臣くんがそんなこと言ってる。

っていうか・・・皆さん(八葉)総出で平家のお迎え?



「それは聞き捨てならないね」


「く、熊野別当・・・!」


は俺の姫君のはずだけど?」


「ヒノエ、勝手なこと言ってはいけませんよ」


「べ、弁慶まで来たのか・・・」


「清盛殿、さんと彼等に婚儀を結ばせるとなると・・・ここにいる全員を敵にまわすことになりますからね」


「清盛お義父様、和議、ダメですか?」


「・・・・・・そんなに我が義父になるのが嫌なのか・・・?」


「いえ、そういわけじゃないんですけどね・・・」



清盛お義父様がア●フルの●ーちゃんに見える・・・

流石、安徳帝のお祖父様。

それに、敦盛くんの叔父上様。

うん、平家の血は怖いわねぇ・・・

・・・・・・・・・・・・もしかして、将臣くんとか知盛も?!



「何を考えているのじゃ?」


「え、あの、その・・・」



言えない、この緊迫した雰囲気の中で・・・

ア●フルの●ーちゃんのこと考えていたなんて・・・





















「そういえば、知盛はどこに?」


「・・・・・・ここにいる」


「・・・清盛お義父様の後ろにいたのね、気付かなかったわ・・・」



ついつい、清盛お義父様に視線が行ってしまって・・・上のほうを見ていなかったもの。



「と、知盛は和議に賛成よね?」


「あぁ・・・この間、約束したからな」


「私と婚儀なんて結ぶ気ないわよね?」


「別に・・・どちらでも構わん」



どちらでもって・・・それでいいの?!

一生の問題じゃないの?!



「どちらでも構わんとは何だ!!」


「九郎さん・・・」


「こ、婚儀を結ぶとは一生の問題であろう?!」


「九郎、落ち着きなさい」


「そうだよ九郎、落ち着きなよー」


「落ちついてられるか!!」


「まぁねーここにいるみんなも気が気じゃないみたいだし」


「ちょっと待って!このまま行くと・・・和議が結ばれない?!」



困る・・・

それはカナリ困るんだけど・・・?



「そうじゃ!和議を結ぶためにも知盛か重盛と祝言をあげるのじゃ!!!」


「うーん・・・」


「姫君、もしも・・・祝言をあげでもしたら熊野は協力できないよ?」


「え?!」


「もちろん、源氏も協力できませんね」



・・・・・・困った・・・

これじゃあ和議は結ばれないじゃない・・・

こうなったら・・・



「清盛お義父様、酷いです」


「うっ・・・」


「私は・・・みんなに幸せになってもらいたいのに・・・もちろん、清盛お義父様にも・・・」



効くかわからないけど泣き落とし。

もうこれくらいしか手がないもの。



「・・・・・・」


「清盛お義父様・・・?」


「・・・わかった」


「え?」


「和議は結ぶ、それで・・・いいのだな?」


「はい、ありがとうございます、清盛お義父様」


「ふふ、流石だね、姫君」


「本当に」




















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スノウ様からのリクエストで・・・

大団円EDで和議を結ぶために清盛に説得に行くシーンで、八葉達もいて

和議を結ぶ条件に将臣か知盛と祝言をあげろと言い出し、八葉(将臣以外)が怒り出すという話。

・・・・・・八葉の存在が非常に微妙な結果となってしまいました。

すみません、怒ってるのかも微妙で・・・

(あまり何も言っていない彼等も心の中では怒っているということにして置いていただけると・・・助かります)

あと、リクエスト頂きましたのは大分前でしたのに、応龍の神子のEDと言うことでしたので・・・

掲載が遅くなってしまいまして、すみませんでした。

スノウさん、リクエストありがとうございました。


逢ふまでと せめてのいのちの をしければ 恋こそ人の 祈りなりけれ <藤原頼宗>

あの人に逢うまでは生きていたいと、非常に命が惜しく思われるので、恋心というものは、

人にとって祈りみたいなものなのだなぁ。
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