* 思はぬに 妹が笑まひを 夢に見て 心のうちに 燃えつつぞ居る *
「、一緒に出かけませんか?」
「弁慶お兄ちゃんー?どこ行くの?」
「そうですね・・・はどこか行きたいところはありますか?」
「うーん・・・あっ勝浦に行こう!勝浦!」
「勝浦ですか・・・」
「うん、ダメ?」
「いいえ、構いませんよ。でも、どうして勝浦なんですか?」
「今日ね、貿易の船が来るの!」
「あーなるほど、今日はそんな日でしたか」
「そう、だから行きたいなぁーって思って」
「じゃあ行きましょうか」
「うん!」
弁慶お兄ちゃんの手を掴んで歩き出す。
お兄ちゃんの手はあたたかくて大好き。
「うわぁー綺麗キレイー!!」
「ふふ、どれか気にいったものはありますか?」
「えっとねーあっこれ可愛い!!サンゴだサンゴ!」
「これはお幾らですか?」
「え?お兄ちゃん買ってくれるの?」
「えぇ。可愛い妹姫のためですからね」
「あ、あなたは・・・!」
「おや?僕たちのことをご存知ですか?」
「ご存知もなんも・・・御代なんて結構ッス!!」
「ダメだよーそんなこと言っちゃ」
「しかし・・・」
「あなたも商売でやってるんでしょー」
「はぁ・・・」
「もこう言っていますしね、お幾らですか?」
なんて言いながらお店の人にお金を払っているお兄ちゃん。
やっぱり・・・熊野で私たちを知らない人って少ないのかなぁ・・・?
前熊野別当の弟と妹。
現熊野別当の叔父さんと叔母さん。
うわぁ・・・叔母さんなんて嫌だー!!!
「はい、。どうぞ」
「あっありがとう弁慶お兄ちゃん!」
「どういたしまして、君の可愛い笑顔を見れて良かったですよ」
「もう、お兄ちゃんってばー」
「こんなところでイチャつかないでもらいたいね」
「ヒノエ!」
「お仕事ですか?大変ですね」
「それ嫌味?」
「いえ、そんなつもりはなかったのですがね・・・」
「ヒノエー何か良いものあった?」
「あぁ・・・姫君にとっておきの一品を見つけたよ」
「とっておきの一品?!何かすごそうー!!」
「今までにないくらいすごいものだね・・・西洋の絹織物だよ」
「うわぁ・・・すごいキレイー触り心地いいー!!」
「だろ?これはのために選んだんだよ」
「いいの?私がもらっちゃって・・・」
「当然。これはお前以外には似合わないからね」
「ありがと、ヒノエ!」
「どういたしまして、お前の花のような笑顔が見れただけで十分だよ」
・・・な、何か・・・弁慶お兄ちゃんとヒノエって被る気がするんだけど・・・
やっぱり熊野の血?
ってことは私も?!
「おっやってるなー」
「湛快お兄ちゃん」
「どうだ?いい品はあったか?」
「見てみて!弁慶お兄ちゃんとヒノエにもらったー!!」
「ははっ大量じゃねぇーか。良かったな、」
湛快お兄ちゃんはいつもこんな感じに頭を撫でてくれる。
それも、すごく好き。
お兄ちゃんたちもヒノエもすごく優しい。
「うん!」
「じゃあ帰りましょうか」
「そうだねーヒノエはお仕事終わったの?」
「あぁ、終わったよ」
「湛快お兄ちゃんは?」
「俺はもともとただの見物だからなー隠居生活だし」
「じゃあ一緒に帰れるね!」
後ろをゆっくり歩いてくれるのは湛快お兄ちゃん。
そして、私の右手はヒノエ。
左手は弁慶お兄ちゃんと繋いで歩いて帰る。
私の好きな場所、時間、人たち・・・
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姫乃麻都様からのリクエストで・・・
前の弁慶妹夢の続きみたいなものです。
とりあえず・・・前回同様、熊野別当の血縁者集合。(笑)
今回は貢物編・・・?
麻都さん、リクエスト有難うございました!!
思はぬに 妹が笑まひを 夢に見て 心のうちに 燃えつつぞ居る
思いがけず君の笑顔を夢に見て恋の炎が抑えきれなくなっている。
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