* 大船の たゆたふ海に 碇下し 如何にせばかも わが恋止まむ *
「ん・・・?」
な、何かいる?!
暗くて見えないけど・・・絶対に何かいる気配・・・!!
・・・なんか怖い・・・
「お兄ちゃーん!助けてー!」
「?どうしましたか?」
「弁慶お兄ちゃーん!なんかいるよー!!」
「・・・とりあえず灯りをつけますね」
「う、うん・・・」
弁慶お兄ちゃんが灯りをつけてくれて・・・
見えなかった気配の正体が見えてくる・・・
「ってヒノエ?!」
「折角夜這いに来たって言うのに大声出すなんて酷いなぁ」
「夜這い?!」
「全く・・・誰に似たのでしょうね?」
「、大丈夫かぁー?」
「湛快お兄ちゃんも来てくれたんだー」
「そりゃあ、可愛い妹姫の叫び声が聞こえたからなぁ。で、何があったんだ?」
「ヒノエが夜這いを仕掛けたらしいですよ」
「おっそれはやるなぁ、流石俺の息子」
「そういう問題じゃないでしょう」
「ヒノエー私相手に夜這いに来ても仕方ないでしょー」
「よりも美しい女はこの熊野にはいないよ」
「それは確かにそうですね」
「弁慶お兄ちゃん!そこは納得するところじゃないでしょー!!」
「おや?僕は本心を言ったまでですよ」
「ふぇ?」
「僕の妹姫は本当に可愛らしいですからね」
「俺たちの、だろ?」
「ねぇ、」
「ん?」
「二人で海への逢瀬は如何かな?」
「海かぁ・・・船出してくれるの?」
「当然、一番速いやつをね」
「じゃあ行く」
だってこの3人のせいで目が覚めちゃったんだもん。
一番悪いのはヒノエだね。
熊野の海は綺麗だし、船に乗って潮風に当たるのもすごく気持ちよくて好き。
「おいおい、二人でなんてことはないよな?」
「当たり前でしょう」
「勝手に決めないでくれる?叔父上殿」
「うわぁーヒノエが弁慶お兄ちゃんをその呼び方したら私は叔母上殿になっちゃうじゃんー!!」
嫌ぁーーー!!!
ヒノエに叔母さんって呼ばれるなんて絶対に嫌!!
「俺がお前のことを叔母上殿だなんて言うわけないじゃん」
「今言ったじゃんー!!」
「・・・・・・」
「ははっじゃあ、久し振りに兄ちゃんと船遊びでもするか?」
「うん!湛快お兄ちゃん!」
「兄上、ずるいですよ」
「じゃあお前も一緒に来るか?」
「えぇ、もちろん」
「やったー湛快お兄ちゃんと弁慶お兄ちゃんと船遊びー!」
「・・・ねぇ、」
「なぁに?ヒノエ」
「俺は一緒じゃダメなの?」
「うーん・・・もう叔母上殿なんて言わない?」
「当たり前じゃん」
「じゃーいいよー」
「ありがと、。やっぱりお前は最高の女だよ」
「当然だろ?」
「僕たちの大切な妹姫ですからね」
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姫乃麻都様からのリクエストで・・・
弁慶の妹主人公さんで、ヒノエ、弁慶、湛快とのほのぼの日常・・・
こ、こんな日常はありですか?!
ヒノエが夜這いに来たり・・・非日常かもしれませんが、こんな日常もありですよね・・・?
麻都さん、リクエストありがとうございました。
大船の たゆたふ海に 碇下し 如何にせばかも わが恋止まむ <作者不詳>
大船は揺れる海に碇をおろして船を鎮めるが、どのようにしたならば私の、この恋の思いは止むことだろう。
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