* 蜜雨 *
「雨ね・・・」
この雨は恵みの雨なのかな・・・?
吉兆への兆だといいのだけど・・・
「雨が好きなのか・・・?」
「お出かけするのは嫌になっちゃうね」
雨の日にお出かけすると足元が汚れてしまったりで大変。
この世界だともっと大変かもしれないわね。
「でも、虹が見れると嬉しいじゃない?」
「虹・・・か」
「そう、知盛は虹はお嫌い?」
「いや・・・嫌いじゃない」
「あら、ちょっと意外ね」
「どういう意味だ・・・?」
「そのままの意味よ」
あらあら、ちょっと不機嫌そうな顔。
だって知盛のイメージは本当に戦場にいるようなものなんだもの。
最も、本人と対面してみて大分イメージは変わってしまったけど。
「ふふ、虹が出たら一緒に見に行きましょう?」
「虹が見られるとは限らないだろう・・・?」
「うーん確かにそうだけど、見れるような気がしない?」
本当に、何となくだけど・・・
見られるような気がするのは気のせいかな。
「お前がいれば見られるのかもしれんな・・・」
「雨が止むのが楽しみね。まだ少し時間がかかってしまいそうだけど」
「剣でも交えるか?」
「もう、そればかりね」
「いいであろう?お前の剣は好きだからな・・・」
「たいした腕も無いのに?」
「あぁ、強い瞳にそそられる」
「瞳?剣とは関係ないじゃない」
「関係あるさ・・・」
やっぱり不思議ねぇ・・・平知盛。
「俺はお前に惚れているのだからな・・・」
「はぁ?」
「お前の剣と瞳・・・つまり、お前に惚れているということだろう?」
さらっと微妙なこと言ったわね・・・この人。
聞き方によれば告白っぽいけど・・・知盛はそんなこと考えているとも思えないし・・・
「あっ雨が止んだね」
「・・・・・・」
「外に行こう?知盛」
「・・・まだ虹は出てないぜ・・・?」
「太陽が出てきたから虹も時間の問題でしょう?それに、虹の出る瞬間なんて素敵そうじゃない?」
虹が出る瞬間なんて・・・簡単に見れるものじゃないから・・・
知盛と見るのもきっと悪くないと思うの。
最も、目の前にいる彼が一緒に外に出てくれるかが問題だけど。
「虹が出る瞬間まで剣を交え続けるのも悪くないな・・・」
「じゃあ決定ね。行きましょう?」
「あぁ・・・」
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haruka様からのリクエストで・・・
応龍の神子と知盛の短編か中篇長編とのことだったので・・・
短編とさせていただきました。
何かすごく微妙なお話ですが・・・ちょうど書こうとしたときに雨が降ってきまして。
知盛と虹っていうのもいいなぁなんて勝手に考えちゃいました。
haruka様、リクエストありがとうございました。
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