* 君恋ふる 身はおほぞらに あらねども 月日をおほく 過ぐしつるかな *
「兄上!酷いですわ!!」
「ひ、酷くなどない!」
「折角、景時が来て下さる言っていたのにお断りなさるなんて・・・!!」
「・・・・・・」
「もう、兄上とは絶縁です!!」
「なっ・・・」
「あれー九郎?」
「景時・・・か」
「ちゃんが病で寝込んでるんじゃなかったのー?」
「そ、それは・・・その・・・」
あぁ、なるほど、嘘だったんだね。
そんなに俺がちゃんに近づくのが嫌なのかなぁー?
「もしかして・・・ちゃんに絶縁でもされた?」
「・・・・・・あぁ」
ははっ流石ちゃん。
九郎が絶縁された姿が想像できちゃうよ。
「じゃあ俺はちゃんに逢いに行って来ようかなぁー?」
「なっ・・・?!」
「だって、俺が絶縁されたわけじゃないし?元々、俺は今日ちゃんに逢いに行く予定だったし」
項垂れちゃってるよ、九郎・・・
これでも一応、源氏の総大将なんだけどねぇ・・・
「・・・・・・のこと、よろしく頼む」
「うん、了解」
九郎がちゃんのこと大切に思ってることはわかってるよ。
でも、俺だってちゃんのこと大切だし・・・好きだからね。
譲れないんだよねぇーこれだけは。
「ちゃーん、いるー?」
「その声は・・・景時?!」
「正解♪」
庭のほうから聞こえてきたのは待ちわびた彼の声。
そして、目の前にいるのは待ちわびた彼の姿。
「どうして・・・?」
「ちゃんに逢いたくて逢いに来ちゃった」
「え、えっ?!///」
「迷惑だったかな?」
「いいえ!寧ろ・・・すごく嬉しかった」
「じゃあ最初の予定通り星見に行こうか?」
「うん!でも・・・兄上が・・・」
「九郎なら大丈夫、ちゃんを頼むって言われちゃったし」
「兄上がそんなこと言ったの?!」
あの兄上が・・・
景時にそんなこと言うなんて意外。
「うん、俺って九郎に信頼されてるのかなぁー?」
「・・・・・・」
「何でそこで黙っちゃうのかなーちゃん?」
「だって・・・」
「まぁいいや、とりあえず行こう?」
「うん!」
兄上なんて関係ないもん。
絶縁しちゃったし。
「やっぱり俺の一番の恋敵って九郎なんだろうねぇ」
「え?!」
「だって・・・九郎はちゃんのこと大好きだし」
俺に嘘ついてまで逢わせないようにしたくらいだし。
本当に妹を大切に思ってるんだよねぇ。
「じゃあ私の一番の恋敵は朔?」
何てこと言い出すのかなぁ・・・ちゃんは。
朔が恋敵?
って・・・恋敵?!
「え?!朔が?!」
「だって・・・景時も朔のこと大好きでしょう?」
「まぁ・・・俺のたった一人の妹だしね。でも、恋敵にはならないよ」
「どうして?」
「俺が一番大好きなのは、ちゃんだからね」
「え・・・///」
「景時!人の妹を誑かすな!!」
・・・・・・九郎はやっぱり恋敵だね・・・
折角の俺の告白の邪魔をしてくるなんて・・・困ったもんだねー。
「兄上?!」
「!無事か?!景時に何もされていないか?!」
「俺がちゃんに何かするわけないでしょー?」
「お前には聞いてない!」
とりあえず、この九郎をどうにかしないと・・・
俺の恋を進展しない・・・かな?
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莉佳様からのリクエストで・・・
九郎の妹ヒロインで景時夢。
九郎さん立場弱い・・・(汗)
そして微妙にシスコン・・・
景時さんが意地悪になっている気が・・・
すみません、初めて書いた設定なので・・・もう、好き勝手に書いちゃってました・・・
莉佳さん、リクエストありがとうございました。
君恋ふる 身はおほぞらに あらねども 月日をおほく 過ぐしつるかな <藤原伊房>
あなたを恋い慕うこの身は大空ではありませんが、月や太陽が何度も通り過ぎていきました。
(あなたに恋をしてから長い月日が流れました。)
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