* 失うものなど何も無い *
「弁慶さーん!」
僕の名前を呼びながら走ってくる君の姿。
その姿さえも愛しい。
「どうしました?」
「あのですね、じゃーん!」
彼女が僕に差し出すものは初めて見る物体。
・・・さんの世界のものなのでしょうか?
「・・・これは何ですか?」
「クッキーです!」
「くっきー・・・ですか?」
「はい、弁慶さんのために作りました」
「僕のために作ってくださったなんて嬉しいですね」
「食べて下さい!」
「えぇ、頂きます」
さんの手作りのくっきーというものをひとつ口に含む。
口に含むと広がるのは甘い香り。
「・・・どうですか?」
「とても美味しいですよ」
「よかったぁ・・・」
僕が美味しいと伝えれば安心したような彼女の顔。
戦乱の中では決して交わすことのないような会話。
さんとの幸せな日々。
この幸せは全て彼女と共に得たもの。
「さんもいかがですか?」
「え?」
「はい、お口を開けて下さいね」
「えぇ?!」
驚いたように声をあげる彼女の口にくっきーを入れる。
「べ、弁慶さん?!」
「ふふ、可愛らしいですね」
「もう・・・!!///」
怒ったように頬を膨らませる姿も可愛らしくて・・・
つい苛めたくなってしまう。
「さん、愛していますよ」
耳元で囁けばさらに頬を紅く染める彼女の姿。
彼女の全てが愛しくて・・・
もう、僕はさんなしでは生きていけないですね。
「・・・・・・私だって、弁慶さんのこと愛してます・・・っ!」
そのような可愛らしいことを言って、僕を困らせて・・・
「・・・ふふ、君は本当にいけない人ですね」
失うものなど何も無い
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水野七星様からのリクで・・・弁慶さんの甘いお話です。
あの時代、あの世界でクッキーを作れるかどうかはわかりません。
でも、きっと作れますよね・・・?
とりあえず、弁慶さんに「愛しています」と言わせたかっただけです。
やっぱり弁慶さんは主人公さんにベタ惚れぽくなってしまいます。
水野七星さん、リクありがとうございました。
お題配布:銀月迷宮様
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