* 終焉 *










「先生ー」



笑顔で駆け寄ってくる女子生徒。





「見てました?聴いてました?」


「・・・あぁ」



彼女が弾くのは愛の挨拶。

遠くからでも彼女の音色がわかるようになった。

最初は彼女がこの曲を弾けるようになるとは到底思わなかった。

最初は・・・こんな想いをすることになるとは思わなかった。



「どうでした?」


「・・・・・・」


「・・・先生?」



不安そうな瞳を向けてくる。

そんな顔をさせたいわけじゃない。



「・・・・・・」


「・・・ごめんなさい、先生忙しかったんですね」



悲しそうな瞳。

別に忙しいわけじゃない。



「失礼します」



走り去っていこうとするの腕を掴む。

頬を涙が伝うのが見える。



「離して下さい・・・っ」



の拒絶の声。

その声を、言葉を紡がせているのは間違いなく・・・俺。



「嫌だ」


「先生・・・ッ!」



大きな瞳に溜まり、また溢れ出す涙。

その涙を指で拭ってやる。



「・・・悪かったな」


「・・・・・・ッ」



涙は止まることなく溢れ出す。






「・・・紘人、さん・・・」



名前を呼んでやれば、紡がれるのは拒絶の言葉じゃなく俺の名前。



「悪かった」


「ううん、紘人さんは悪くない・・・」



違うよ。

お前さんは悪くない。

悪いのは俺。



「俺が悪いんだよ、


「・・・・・・」


「臆病なんだよな・・・俺は」



愛する者の失うことを恐れて、前に進めずにいる。

前に進むことの出来ない。

臆病な自分、そんな自分が嫌になる。



「俺は・・・お前さんが好きだよ」


「紘人さん・・・」



恋を失って臆病になった俺の心に入り込んできたのは彼女。

俺の心に心地よく広がる音色を携えて現れた・・・天使。



「愛している」



愛の言葉を送ろう。

もう、二度と失うことのない愛を願って・・・




















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魁様へのキリリク創作です。

シリアス→甘・・・

何と言いますか・・・甘の部分がとにかく少ないですね・・・

シリアス街道です・・・(汗)

リクに適っていなかったら本当にすみません。

紘人さんの葛藤が書きたくて・・・つい・・・

リクエストありがとうございましたv

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