* 届かぬ想い *
「うわぁうわぁうわぁー!!!」
なんか俺、カナリあの二人の邪魔しちゃった?!
金やんもちゃんも笑ってたけど・・・
「でも・・・なんか羨ましいなぁ・・・なんて」
ちゃんと金やん・・・すごく仲良しって感じだったし。
なんて言うかラブラブ?
お互いが好き合ってるって感じだもん、本当に。
「あっ火原先輩!!」
放課後、何となく森の広場来ていた俺に声を掛けてくれたのは・・・
さっき音楽教諭室であったちゃん。
「どうしたの?ちゃん」
「えっと・・・さっきはお見苦しい所をお見せしまして・・・」
「あっううん!全然気にしないで!」
「それで・・・その、重ね重ね申し訳ないのですが・・・」
「大丈夫だよ!俺、誰にも言ってないし!」
「あの、そうではなくて、というかさっきのことは全く関係ないんですけど・・・」
「え?!」
うわぁ・・・俺、早合点しちゃった?
やっぱり、人の話は最後までちゃんと聞かなきゃいけないね。
「3つのロマンス第2曲、今やっと弾けるようになったんです」
「え?!本当?」
「はい、上手というレベルまでは程遠いんですけど・・・」
「俺に聴かせてくれるの?」
「火原先輩、3つのロマンス第2曲好きって言っていたような気がして・・・」
「うん、好きだよ。あれ?でも金やんは?」
やっぱり弾けるようになった新しい曲は一番大好きな人に・・・
初めに聴いてもらいたいんじゃないのかな・・・?
「紘・・・金澤先生が言ってたんです」
「・・・何て?」
「自分が頑張って練習して弾けるようになった曲は本当にその曲が好きな人に聴いてもらえばいいって」
「へぇ・・・」
金やんが真面目なこと言ってる・・・
このアドバイスはきっとちゃんのためだけに言ってるんだろうね。
本当にちゃんの音が好きで、沢山の人に聴いてもらいたいって言う願いが込められてる・・・
本当にその通りだよね。
自分の好きな曲を誰かが奏でてくれることはすごく嬉しいこと。
うん、俺わかるような気がするよ、すっごく。
「だから、この曲が好きだと教えてくれた火原先輩に聴いてもらいたいんです」
「そっかーうん、じゃあ聴かせて欲しいな」
「ありがとうございます!じゃあ・・・弾かせてもらいますね」
「うん!」
ちゃんの音色は優しく包み込んでくれるような気がする。
本当に、すごく優しい。
きっと、この音色は金やんに対する優しい心から表れて来る、そんな音色なんだよね。
ちゃんの音色は前から優しかったけど・・・
最近はもっと、もっと優しいものだから・・・
「うん!ちゃん、すごく上手くなったよね!」
「そ、そんなことないです・・・!私なんて全然まだまだで・・・」
「本当に上手だよ、金やんも言ってくれるでしょ?」
「・・・はい」
ちゃんはきっと、毎日金やんに金やんの好きな曲を奏でてるんだろうな・・・
ちゃんの音色も、心も全て金やんに伝わって・・・
さっきのお昼の時みたいな優しい雰囲気がうまれるんだ・・・
「自信持って大丈夫だよ!ヴァイオリンのことも、金やんのことも!」
ねぇ、ちゃん。
実は、俺・・・ちゃんのこと好きだったんだよ。
もちろん、今も好きだよ・・・大切な後輩、友達として。
前までの気持ちが恋だったのかは正直、俺にもわからないけど・・・
でも、今の俺は金やんとちゃんのこと応援してる。
頑張れって!
「ありがとうございます、火原先輩」
「あっまた聴かせてね、3つのロマンス第2曲」
「はい!頑張って練習します!」
「うん、頑張ってね」
俺の今の心は”頑張れ”って気持ちでいっぱい。
これからも・・・俺はちゃんと金やんを応援してるよ。
「ちゃん!頑張ってね!!」
届かぬ想い
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霧島湊様からのリクエストで・・・
金澤先生と香穂子ちゃんを応援する火原先輩のその後・・・です。
とりあえず、「祭り」の続き風とさせていただきました。
なんだか・・・火原先輩が切ない存在になってしまいました・・・
リクに適ってなかったらすみません。
湊様、リクエストありがとうございました!
お題配布:なんでも100のお題様
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