* 全てを知っているのは夜空に輝く星々だけ。 *
「なぁ知盛って昔からああなのかよ?」
「知盛殿が戦いにあのように執着なさるようになったのはきっと・・・桜花の君が亡くなってからですよ」
「桜花の君?誰だ?」
「還内府殿はお逢いになったことがございませんでしょうね、知盛殿の北の方です」
「知盛の北の方ぁ?ってことはつまり、妻ってことだよな?」
「えぇ」
「へぇーアイツもちゃんと結婚してたのかよ」
「えぇ・・・」
「で、桜花の君ってどんな女なんだ?」
ちょっと興味があった。
あの知盛と結婚したっていう女。
「可愛らしい、少々お転婆なお姫様ですよ」
一瞬、アイツの顔が頭に過ぎった。
幼馴染で、一番大切な・・・女。
この世界に来て、捜しても、捜しても見つからなかった。
「・・・還内府殿?」
「悪ぃ。で、その女の名前は?」
「確か・・・姫でしたね。知盛殿が自分以外が彼女の名を呼ぶことを嫌いまして、私共は桜花の君と呼んでいたのですよ」
””だと・・・?
まさかあのなのか?
俺がこの世界に来るよりも、もっと前にがこの世界にいて・・・
知盛の妻になり、死んだのか・・・?
「なぁそのってお姫様はこの世界の人間だったのか?」
「えぇ、還内府殿のように違う世界から来たわけではありません」
「そっか・・・」
つまり、俺の知っているではない。
安堵している自分がいる。
自分でも自覚はしていただが・・・本当に、アイツのこと好きなんだよな、俺は。
「でも、あの知盛がなぁ・・・」
「本当に、とても愛していらっしゃいました、桜花の君を」
「写真とかないんだよなーここは」
「写真、とは?」
「あー写真っていうのはこういうのだ」
こっちの世界に来て制服のポケットに入っていた一枚の写真。
望美と譲とと4人で撮ったやつ。
「・・・桜花の君・・・?!」
「え?」
「この方は桜花の君とよく似ていらっしゃる・・・」
「マジかよ・・・」
そりゃ世界には自分に似た人間が3人いるとかいう話もあるけどさ・・・
「しかし・・・桜花の君はもう亡くなっておりますし、この方は還内府殿の世界の方・・・別人でしょうね」
「あぁ・・・多分な」
「この写真というものを、知盛殿にはお見せにならない方が宜しいかもしれませんね」
「そうだな」
全てを知っているのは夜空に輝く星々だけ。
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||