* 外傷は消えるけど、心の傷は、薄れることすらない *
「誠人クンー!!」
「チャン、早かったね」
「うん、超特急で来たんだもん」
裕也クンの車だったし。
あの公園からさほど離れてなかったし。
「そっか」
「で、何があったの?」
「ん、話せば長くなるんだけどね・・・」
「久保ちゃん!!」
「時任」
「あっも来たんだな!」
「うん」
「沙織チャンがね、この病院にいるんだ」
「え?沙織チャンってあの沙織チャン?」
「うん、多分あの沙織チャン」
「でも、どうして・・・?」
「今日発見された死体、沙織チャンの彼氏サン」
「・・・嘘・・・」
「ホント」
「沙織チャン・・・大丈夫かな・・・」
彼氏サンがW・A飲んでて・・・
尚且つ、死んじゃって・・・
しかも、W・A服用した死体って獣化だし・・・
他人ならともかく、彼氏サンとなれば尋常でいられるはずがない。
「誠人!」
「何ッスか?葛西サン」
「あっ葛西サン、こんにちは」
この間は、鎮圧お疲れ様でした。
葛西サンのお陰で流血沙汰にはならなかったそうです。
よかったよかった。
「おぉ、嬢ちゃんもいたのか」
「どーしたんですか?」
「とりあえず今日はもう帰れ」
「沙織チャンは?」
「眠ったとさ」
「じゃあ逢えないね」
「なんだ、嬢ちゃんもあの子に逢いに着たのか?」
「ん、一応。でも無理だね」
正確には誠人クンと稔クンに逢いに来たんだけど・・・
ここまできたし、沙織チャンにも逢って帰ろうかと思ってたけど・・・無理そうだね。
私には言葉をかけてあげる資格も無さそうだし。
「じゃあ・・・時任、チャン、帰ろうか?」
「ん、帰ろう」
「おう!」
「じゃーね、葛西サン」
「気をつけて帰れよ」
「さ、今日の晩御飯何しようか?」
「俺ラーメン食いたい!」
「じゃあどっかで食べてく?」
「賛成ー」
「あっラーメン屋発見!」
「おぉー時任すごいすごい」
「何か古びた感じだねー」
「そういうトコのほーが美味いかもしんねぇーだろ!!」
「あっそれは言えてるかも」
「久保ちゃん、いいよな?」
「ん、いーよ」
外傷は消えるけど、心の傷は、薄れることすらない
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