* 楠木の下の二人 *
「ごめん、待たせちゃった?」
「いえ、今来たところです」
「そっか、それならよかった」
だって時間指定がなかったんだもん。
待つのはいいけど待たせるのは嫌だし。
裕也クンの場合、待たせても何も文句言わないんだろうけど。
「で、やっぱり東条が絡んでる?」
とりあえず本題。
この話で間違ってないだろうし。
「えぇ、恐らく。警察も踏み荒らした形跡があったって考えてるようですし」
「全く、もうちょっとわからないようにすればいいのにね?」
「そうですね」
「OK、そっち任せても大丈夫?」
「はい。治サンたちにも伝えておきます」
「ん、よろしく。じゃあコッチはコッチで近づいてみる」
「気をつけてくださいよ」
「もうー裕也クン、私のこと甘く見てるでしょ?」
「甘くは見てませんよ」
「そっか、そっか。あっそうだ、これ」
「なんですか?これ」
「この前言ってた話、鵠サンに調べてもらったの」
「あぁ・・・東条の一年ほど前の事件のやつですね」
「そう、気になったから」
「で、ちなみにこれは・・・俺が纏めるんですよね?」
「うん、もちろん」
「・・・・・・はぁ、わかりましたよ」
「ありがと、裕也クン」
「簡単に纏めてメールしますね」
「ん、お願い」
「今度からは鵠サンに纏めてもらってくださいよ」
「えぇーヤダ。だって裕也クンに纏めてもらうのが一番わかりやすいんだもん」
〜♪
「あっごめん、電話だ」
「どうぞ、出てください」
「ん。はい?」
「チャン?」
「誠人クン、どーしたの?」
「色々あってね、今病院にいるんだ」
「病院?怪我でもした?」
乱闘騒ぎに巻き込まれたとか?
それでボロボロとか・・・?
「うーん・・・何て説明しようかな」
「とりあえず、そっち行くから何処の病院か教えて」
「ん、○○病院」
「了解、今から行くね」
「じゃあ入口で待ってるよ」
「うん、待っててね」
「○○病院まで送りましょうか?俺、車ですし」
「ホント?助かる」
「じゃあちょっと待っていてくださいね」
「はぁーい」
車で送ってもらうのは病院の近くまでにしよう。
入口で誠人クンが待っててくれるみたいだし。
まぁ・・・裕也クンの顔知られてないから別にいいんだけど。
楠木の下の二人
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