* 私は嘘つき、君は正直者 *
「うわっ!」
誠人クンが淹れてくれたコーヒーを稔クンに渡そうとして・・・
見事に私は躓いて、稔クンはコーヒー塗れ。
「熱ぃー!!」
「稔クン、ごめん!大丈夫?」
「大丈夫ー?」
「うわぁーどうしよう、どうしようー。よし、とりあえずその手袋脱いで!」
「え、」
「え、じゃないでしょ!もう私が脱がせる!」
「わっ、やめろって!!」
どうして稔クンが嫌がるのかはわからない。
でも、とりあえず脱がさなきゃ気がすまない。
「・・・・・・え?」
無理やり脱がした稔クンの手袋。
その手袋が隠していたものは・・・稔クンの手。
しかも、獣の手・・・
「久保ちゃん、見られた」
「そうだねぇ・・・」
「・・・・・・稔クン」
「・・・なんだよ」
「無理やり、ごめん」
「・・・なっそんな謝んなよ!」
「・・・誠人クン、これって・・・W・A・・・?」
そういえば・・・出雲会年少組元リーダーサンが猫を拾った・・・
って話聞いたことあるような気がする。
なるほど、こういうことだったんだね。
「お前!知ってるのか?!」
「W・Aのこと?」
「あぁ!」
「たいしたことは知らない、知ってるのは名前と効力って言うのかな、そういうことだけ」
「「・・・・・・」」
「ねぇーチャン、W・Aのこと何処から聞いたの?」
「んーっとね、巷の噂?」
・・・だよね、一応。
W・Aの話はコッチの世界じゃ結構有名だし。
「へぇー噂になってんだ」
「うん、一応」
とっさの出任せでもあったけど・・・とりあえず、稔クンは信じてくれたっぽい。
誠人クンはダメだろうねぇ・・・
何も考えていないようで実はメッチャ考えちゃってる人だから、誠人クンは。
「チャン」
「ん?」
「・・・やっぱ、いいや。時任、風呂行っておいで」
「おう!」
「とりあえず、拭かなきゃ床」
「いいよ、チャンは座ってて」
「でもー零したの私だし」
「いいのいいの、オヒメサマは座ってなさい」
「・・・はぁーい」
誠人クンってたまに・・・笑顔が怖い。
流石出雲会年少組元リーダーサンだね。
「ねぇー誠人クン」
「何?」
「稔クンの手、大丈夫かな」
「どうだろうねぇ・・・とりあえず、主治医は鵠サンだから」
「・・・鵠サンって医師免許持ってたんだね」
「ううん、無免許」
「・・・持ってないんだぁ・・・」
まぁ鵠サンだし、何でもありだね。
私は嘘つき、君は正直者
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