* 眠る君にそっと、悪戯なキス。 *
「ただいま」
・・・・・・今日は来てないのか。
いつもなら、ドアが開くと同時に出てきて・・・
「お帰りなさい。」の言葉があるのに。
「ん?」
電気を付けて行った覚えはない。
それなのに一室の灯されている光。
「?」
うわぁー・・・また、見事に寝てるよ、この子。
ここ、俺の部屋。
絶対、この子、忘れてる。
「ー寝るならちゃんとベットで寝なさい」
「んーにゃー・・・」
君は猫か?
あぁ、でも、猫かもしれないな。
気紛れだけど寂しがり屋。
「しかし、ぐっすり寝てるなぁ・・・」
こんな姿を見ていると、つい芽生えるのが悪戯心。
眠っているの顔にそっと、自分の顔を近づける。
唇が触れるまであと、一センチ。
「お帰りなさい、野宮さん」
あと、一センチの距離で閉じられている瞼が開かれる。
寝ぼけてるかと思えば、意外にはっきりとした口調。
にっこりと微笑む姿。
「・・・ただいま、」
してやられた瞬間。
眠る君にそっと、悪戯なキス。
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